東京・大阪の医療体制とワクチン接種状況

2021年3月20日

    2021318日、本社で「安全衛生委員会」のテレビ会議があった。

午前10時、リモート会議が始まった。私は「大阪の新型コロナ感染者も、重症者も減少している。1月に60人のコロナ患者が入院していた病院では、現在5人と12分の1に減少している。2月に20人が人工呼吸器を使っていた病院では、現在人工呼吸器使用者は数人に減少している。

昨日、コロナ最前線病院の医師と1時間話をした。医師は『大阪は緩んでいる。東京は緩み切っている。今、東京が危ない。東京は第3波が来るまで、若い人が多いので重症者はあまり出ないと、高を括って医療体制を整えてこなかった。冬の第3波から医療体制を整え始めた。

大阪は高齢者が多く、重症になりやすいので、第2波の時から、コロナセンターを作り医療体制を整えてきた。現在も、1500万円補助金を出し、各病院にプレハブを作り12床増床するよう要請している。

東京は他府県と異なる指標を使って、重症者数を少なく発表している。報告を遅らせたり、検査しなかったりして、病床を増やそうとしない』と言っていた」と発言した。

「東京都が発表する数字は信用できないということか」と質問があり、私は「その通りだ。東京は、2009年石原慎太郎東京都知事の時も、新型インフルエンザの検査をさせず、新型インフル患者ゼロがつづいた。神戸と大阪は、正直に新型インフルの検査をし、神戸の経済は大打撃を受け、大阪では学校差別が起きた」と答えた。

2009年当時、400人の医師でグループメールをしていた。東京の複数の医師から「石原慎太郎東京都知事は、新型インフルエンザの検査をさせてくれない」とメールが来た。中部地方や九州地方の医師からも「県が新型インフルの検査をしてくれない」とメールが来た。東京都には、システム的な問題があるのかもしれない。

ワクチン接種状況について、私は「大阪のワクチン接種は、先月から2病院、38日から2病院の4つの病院で開始されている。12時間、145人ずつ接種しているので、1人接種するのに1分かからない。副反応が起きても、エピネフリンをすぐ注射できるので心配ない。大阪には9000の医療機関があり、78のコロナ病院があるが、ワクチン接種はまだまだだ」と発言した。

重役から「マスコミはワクチン接種でアナフィラキシーショックが多数起きたと、ワクチンの恐怖を煽っているように見える。私はワクチン接種をした方がいいと思うがどうか」と聞かれた。

私は「重役のおっしゃる通りだ。マスコミはセンセーショナルに書きたがる。アナフィラシーショックが27例起きたと報道しているのは誤報だ。27例はアナフィラキシーの疑いで、7例が蕁麻疹などのアナフィラキシーだった。ショックは1人もなく、亡くなった人もゼロだ。8割の医師は、ワクチン接種した方がいいと考えている」と答えた。

大阪府医師会の方は、先月「新型コロナは、東京問題だ。東京がしっかりしてもらわないと、大阪の新型コロナは収まらない」と言われていた。東京都は、重症者数と感染者数を正直に公表し、スピード感を持って医療体制を整えることが必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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