新型コロナ「腹臥位療法」と高度肥満

2021年3月 6日

    202134日、職場で「安全衛生委員会」があった。

午後130分、テレビ会議をした。私は「昨日の大阪府の新型コロナ感染者は98人、重症病床使用率は37.1%(82/221床)と減少した。緊急事態宣言が続いている首都圏と違い、大阪のコロナ病院には余裕ができ、コロナ病棟と一般病棟の看護師さんを少しずつ入れ替えている病院もある。

大阪のワクチン接種は2つの病院で始まった。38日に3つ目の病院で接種が開始される。大阪には9000の医療機関があり、31万人の医療従事者が接種する。

先月、阪大の朝野(ともの)教授が大阪府医師会で講演され、『新型コロナは2030歳代の感染者が増え、次に4050歳代が増え、そして60歳以上の高齢者が増える。新型コロナの波は、2030歳代の感染者の増加で、天気予報のように予報できるようになった。大阪府のホームページには、2030歳代の感染者数の前日比が、別枠で載っている。

日本の酒類の出荷量は12月に爆発的に多く、新型コロナ第3波が起きた。第1波、第2波が起きた34月、78月も酒類の出荷量が多い』と話された。今年の春の歓送迎会、宴会を伴う花見は控えて下さい」と発言した。

前日の33日、大阪府医師会から218日に行われた朝野和典大阪大学感染制御学教授のWEB講演「新型コロナウイルス感染症ー現状と今後の対応」視聴のIDとパスワードが送られて来た。朝野教授は、国の諮問委員会の委員もされている。

講演で朝野教授は、座長の「ワクチン接種は始まったが、治療薬はどうか」との質問に対し、「今の所、新薬はなかなか出てこない。アビガンは明確に効くという報告がない。レムデシビルは意見が分かれる。デキサメタゾンは、わりとよく使われ、これはいいんじゃないかという手ごたえを持たれている。

今、一番いいのは医療技術の進歩だ。現在、最も効果がある治療法は腹臥位療法で、腹臥位を繰り返しながら、酸素状態を少しずつよくしていくと、その間に抗体ができ、ウイルスがいなくなる。治療は原始的だが、腹臥位療法が一番効果があるという感触を現場の先生方は持っておられる」と答えられた。

 

阪大病院時代の1980年、160kgの高度肥満女性が入院した。仰臥位(仰向け)で眠られず、腹臥位(うつむけ)で眠っていた。1980年、CTスキャンで脂肪組織を測定した最初の症例で、CT画像 表示も腹臥位で臍が下にあり、背中の皮下脂肪は9cmある。上腕のCTスキャン 表示も撮影したが、皮下脂肪は45cmあった。ワクチン接種の注射針の長さは25mmで、高度肥満者では筋注でなく皮下注になる。

180kgの高度肥満女性も阪大病院に入院してきたが、仰臥位でも腹臥位でも眠ることができず、座禅を組んだ形で、座ったまま眠っていた。座位も呼吸をしやすくするので、座位療法も新型コロナの重症化を防ぐ治療法になるかもしれない。

新型コロナの予防はワクチンができたが、治療薬はまだまだだ。現在、新型コロナ感染症の重症化を防ぐ最も有効な治療法だとされている腹臥位療法は、高度肥満者の急性呼吸促拍症候群(ARDS)に使われてきた。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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