大阪「感染爆発の危機」とCCU・SCU

2020年11月29日

    20201128日、産経新聞朝刊一面の大見出しは「大阪"感染爆発"の危機」「ステージ45指標が基準上回る」だった。

大阪府内の新型コロナウイルスの感染状況は、6つの指標のうち、26日は5つで基準を上回った。人口10万人当たりの療養者数は39.19人(ステージ425人以上)、陽性率は11.3%(10%以上)、直近1週間の感染者数は27.36人(25人以上)、感染者数の前週比は1.36(1以上)、感染経路不明割合は63.2%(50%以上)で、確保想定病床利用率も46.7%(50%以上)ですぐに上回りそうだ。

 

前日(1127日)午後830分、コロナ病院の友人に電話で「最近のコロナ状況」について聞くと、「コロナ病床30床のうち、24床(80%)に重症患者が入っている。今月に入り、大阪府民の気が緩んだのか急激にコロナ患者が増えている。CCU(心疾患集中治療室)とSCU(脳卒中集中治療室)のベッドを半分にしたので、通院中の患者さんが心筋梗塞や脳梗塞になっても、入院できないケースが出ている。このままいくと、大阪のコロナ患者は1週間後には1500人を超え、3週間後には1000人を超え、医療崩壊が起こりそうだ」と言う。

 

私は新型コロナに感染するより、心筋梗塞になる方が怖くなった。11月になって大阪の街はコロナ前の状況になっている。違うのはマスクをかけていること、店に入るときアルコール消毒することぐらいだ。ランチタイムも人気の中華料理店やつけ麺店などの前は520人の行列となり、カウンターもぎっしりで、ほとんどの店でアクリル板がなくなっている。

宴会でアルコールが入ると、マスクなしで大声になる。アルコールを止めて、ノンアルコールのみにするのもいい。居酒屋で大皿料理が出てくると、取り箸でなく直箸で料理を取る人がいる。大皿のサラダだと、他人の唾液が付いたサラダを食べることになる。居酒屋では価格を少し上げてもいいから、大皿料理を止め小皿に分けて出すとよい。

 

1127日夜のAテレビ"報道ステーション"で「65歳以上は入院」と放送していた。1128日朝のYテレビ"ウエークアップ!プラス"では、辛坊治郎氏の「65歳以上だったら入院しないといけないのか」との質問に、田村憲久厚生労働大臣は「地域によって違う。第3ステージに入っている所では、65歳以上でも症状が軽ければ、医師の判断でホテルや療養施設でもいい」と答えられていた。東京発信のテレビしか見ていない大阪人は、大阪の状況がわからない。

11月初旬、コロナ病院の友人に電話をかけた時、「コロナの濃厚接触者がPCR検査を拒否し、クラスターを追えなくなっている。PCR陽性だと、村八分にされる」と言っていた。大阪に隣接する県の田舎では、「コロナ患者が出た2軒が村八分にされ、引っ越した」という。コロナは誰にでも感染する可能性がある。職場や地域で、村八分をしてはいけない。

大阪の新型コロナ感染者は急激に増え、かかりつけ病院があっても、CCU病床・SCU病床が減り、その病院で心筋梗塞や脳梗塞の治療ができない状態になっている。緩んだ気持ちを引き締めて、医療崩壊を防ぐ必要がある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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