僕たちの「大阪都構想」

2020年10月24日

    20201024日、111日の「大阪都構想」投開票まであと8日となった。

1987年、京大・阪大が中心となって、若手勉強会「Tの会」を立ち上げた。メンバーは30歳代後半の20人で、市役所・弁護士・公認会計士・銀行・証券・鉄道・運輸・ホテル・化学・食品・化粧品・製薬・介護施設・医師・薬剤師・メディアなどだった。2カ月に1度集まり、出前の寿司を食べ、ビールを飲みながらテーマを決めて2時間半話をした。

 

大阪の地盤沈下も、時々話題になっていた。銀行・商社・製薬などの大企業の本社が、どんどん東京に移っていく。僕たち(Tの会)が、本格的に大阪都構想に向けて動きだしたのは、関西国際空港ができた1994年頃からだ。大阪市は新大阪駅と関空を結ぶ"なにわ筋線"を計画していた。大阪府は"おおさか東線"を主張し、関空への時間が短縮されず、関西の繁栄が「二重行政」のため妨げられた。

 

大阪の地盤沈下は、甚だしい。戦前の大阪は、東京より人口が多い世界第7位の大都市だった。僕たちが大学入学した1968年の大阪の1人当たりの所得は東京の92%とほぼ同じだったが、僕たちが大阪都構想を考え始めた1994年は東京の70%と低下していた。大阪が、東京に差を付けられ衰退していく最大の要因は、霞が関の「東京一極集中政策」だが、次いで大きいのは「大阪の二重行政」にあると、僕たちは危機感を持った。

 

「Tの会」のメンバーが上司に働きかけ、大阪市長と財界のトップ会談が実現したが、2007年大阪市長選で反対派市長になり、僕たちの大阪都構想活動は停止した。2011年橋下徹市長になり、僕たち「Tの会」のメンバーが、橋下徹市長のブレイン5人の中に入った。

2015年、大阪都構想が住民投票で否決された時、新聞社OBは「20~60歳代では、賛成が多かった。70歳代以上だけ反対が多かった」と言う。

2017年、大阪の1人当たりの所得は454万円で、東京774万円の59%と差がさらに広がり、愛知・茨城・静岡・・にも抜かれ10位に転落した。

 

菅義偉総理は、テレビで大阪都構想について聞かれ「大阪市の職員は5万人と、横浜市に比べ人口は少ないのに、職員は2倍多い。改革が必要だ」と発言されていた。AI時代、1020年で必要な職種は変わっていく。"市の職員は、12年新しいことを学校で学び、市役所に復帰する制度"などを導入すると、職を失わなくて済む。

 

僕たちの「大阪都構想」の原点"なにわ筋線"建設が決まり、大阪府と大阪市の対立も解消された。大阪都構想が実現しても大きな変化はないだろう。だが、いつ府と市が対立して再び地盤沈下が進むかわからない。大阪市は特別だ。「大阪市と大阪府は一緒になった方がいい」と僕は思う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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