肥満のコロナ重症化率と死亡率・宮根誠司

2020年10月10日

    2020105日、新型コロナ第2波は落ち着き、マスク姿を除くと大阪の街はコロナ前に戻った感じがする。

夕方、仕事を終えて帰宅すると、妻に「友人が"肥満はコロナにかかる感染リスクが低く、死亡するのも少ない"と言っていたが本当なの?」と聞かれた。私は「そんなことはない。肥満は重症化しやすく、死亡しやすい。肥満の死亡率は、心臓病・脳卒中・肺疾患・腎臓病がある人に比べると低いが、持病のない人に比べると高い」と答えた。

"肥満はコロナに感染しても死亡しにくい"という噂の元は、前夜放送されたKテレビ宮根誠司の「Mr.サンデー」のようだ。タイトルが「肥満重症化高も死亡リスク低」となっていたので、後半部分だけが誤って伝わったのだろう。

先週930日、国立国際医療研究センターから「COVID- 19に関するレジストリ研究(大曲貴夫代表)」が公表された。全国345施設で新型コロナ6070例を解析している。大曲医師は、小池百合子東京都知事のブレインだ。

入院後に死亡する割合は、第1波(~65日)の7.4%から第2波(66日~831日)1.4%と5分の1に、70歳以上では20.6%から11.0%と半分に、5069歳では4.3%から0.2%と20分の1に減少している。

重症化因子研究は第12638例で検討され、入院後の重症化率は持病なしの5.6%に比べ肥満は18.5%と3倍に高く、死亡率も持病なしの1.9%に比べ肥満5.2%と3倍高くなっている。心・腎・脳・肺に持病のある人の死亡率は2530%と高い。

宮根誠司アナウンサーとは、Aテレビ「おはよう朝日です」に生放送で出演し、話をしたことがある。19951018日午前550分、伊丹の自宅へハイヤーが迎えに来た。620分に大阪市北区大阪タワーに隣接するA放送に着くと、玄関にプロ野球・阪急ブレーブスの盗塁王・福本豊選手がいた。

操作室に入りスタジオを見ると、左手に福本選手、近鉄バファローズの佐々木修選手などコメンテーターが座り、正面にハモンドオルガンがあり、右手にテレビカメラが何台かあった。操作室でディレクターと雑談していると、放送20分前に宮根誠司がやって来た。

放送開始の7時まで、宮根誠司と「おは朝健康本舗」のリハーサルをした。宮根アナの顔は、濃い肌色のドーランでべっとりメイクされていた。私は「内臓脂肪は腸間膜や大網の脂肪で、門脈を介して肝臓に入り、糖尿病・高血圧・高脂血症を引き起こす」と説明したが、宮根アナは「内臓脂肪は、肝臓など臓器に蓄積している脂肪だ」と思い込まれていた。

午前720分から「見分けよう、アブナイ肥満!」のタイトルで、前もっての取材で作られた台本① 表示表示表示に沿って番組は進んだ。宮根誠司アナと立って話をしたので、言葉が半分以上台本と異なり、8分の予定が少し延びて10分の生放送になった。放送後、Aテレビの人と一緒に、ABCセンターの南隣りにある"ホテルプラザ"で朝食を食べた。

COVID-19の本態が次第に明らかになりつつある。入院患者の死亡率は、第1波7.4%から第21.4%に減少している。入院後の重症化率は、持病なしの5.6%に比べ肥満は18.5%、死亡率も持病なしの1.9%に比べ肥満は5.2%と3倍になっている。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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