AI全国高専コンテストと日本の農水産業

2020年9月 8日

    202096日、NHK教育テレビ"サイエンスZERO"で「AIで一獲千金!全国高専ディープラーニングコンテスト」をしていた。サイエンスZEROは、阪大保健学科の教授をしていた大学のクラスメートN君一押しの番組で、毎回観ていると言う。

午後1135分、「第1回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(高専DCON)」が始まった。全国11の高専生がAI(人工知能)を使った新たな技術を開発、ビジネスとしての魅力をプレゼンテーションで競った。審査するのは、日々億単位のお金を動かす日本屈指の投資家5人で、その価値をお金で評価した。

1位は、東京高専「点字翻訳システム」で、「AIを使って長い文章を短く要約し、点字に変換することによって、目の不自由な人が長文を読みやすくするもの」だった。企業評価額は5億円、投資額は1億円で、優勝賞金100万円が授与された。

2位は、鳥羽商船高専「AIウォーター」で、21世紀の新たな農業づくりを示した。企業評価額は5億円、投資額は7000万円だった。

「スマートフォンアプリを使って果樹の画像を撮影、水は足りているか、あげ過ぎていないかなど、その日の水分状態を把握する。それを基に、どれだけ水分を補給するか判断し、園地に最適化した水やりで、高品質なミカンの生産を支援する。このサイクルを繰り返すほど、AIはどんどん賢くなり、作物を高品質にすることができる。

導入したところ、作物の平均糖度は9.2%から10.5%に上がり、糖度向上によるブランド合格率も30%から60%に向上した。農家さんには初期費用として14万円、ランニングコストとして毎月増収分の30%を支払ってもらう」とした。

審査員の郷治友孝氏から「スマート農業系のベンチャーに投資している。農家さんのお金払いはよくない業界で、初期費用14万円というのも結構なハードルになると思う」と厳しい質問があったが、高専生は「現在多くの農家さんがスマート機器の導入を検討されている。既存のシステムに比べ、われわれのシステムは安価で、導入が多く見込まれる」と切り返していた。

3位は、佐世保高専「次世代!仕分け人」で、21世紀の新たな水産業づくりを示した。企業評価額は5億円、投資額は5000万円だった。

「さまざまな種類の魚が一緒に水揚げされ、これを種類ごとに選別する必要がある。人手不足で仕分けに時間がかかるので、魚の鮮度が低下して魚の価格が12割下がる。漁の回数も減少する。そこでAIの画像認識を用いて、アジやサバを瞬時に認識し、魚別のレーンに落として仕分けする"自動高速マシーン"を考案した。九州地方の魚市場132に導入できれば、76.4億円の利益を生む」とした。

司会の松尾豊東大教授は「アジ、サバ、その他の3種類分類だ。実はアジとサバだけで漁獲高の8割を占める。つまり、学習データを集めるコストが、それほど必要ない。ディープラーニンブの使い方が非常に上手だ」とコメントされた。

「全国高専ディープラーニングコンテスト(高専DCON)」が開催され、23位には、AI(人工知能)を使った新たな農業・水産業が入賞した。若い頭脳は柔らかく、アイデアに富んでおり、日本の農林水産業に未来を感じた。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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