「東京の医療ひっ迫」と救うべき業界

2020年7月28日

    2020727日、「我慢の4連休」を自宅で過ごし、大阪へ出勤した。

私が「コロナ病院は、どうなっているか」聞くと、看護師さんは「東京の医療は、崩壊しそうだ。テレビでは報道しないが、東京のナースが、次々とコロナ病院を辞めていっている。コロナ病棟から一般病棟に移ったナースは『また"コロナ病棟を担当してくれ"と言われたら、病院を辞める』と言っている。ナースはいくらでも就職口があり、コロナを扱わない病院に行ける。東京から、地方の病院に移ったナースもいる」と言う。

私は「先週水曜日(722日)コロナ病院の友人に電話をした。友人は"コロナ入院患者が少しずつ増えてきている。コロナを担当する医師は激務となっている。コロナを扱っている病院は、毎月何億円単位で赤字になっている所もある。このままでは、コロナ病院の倒産が相次ぐかもしれない"と言っていた。

コロナ患者を受け入れた病院ほど赤字で苦しんでいる。コロナで赤字が出た病院に絞って、ピンポイントで赤字を補填するといい。コロナで頑張った医療従事者や病院ほど損をするのは不条理だ」と話をした。

722日、東京都のモニタリング会議で、杏林大学医学部の山口芳裕主任教授が「国のリーダーが使われている"東京の医療はひっ迫していない"というのは、2つの観点から誤りでございます。1つは病床の拡大には、2週間以上の時間が必要です。感染防護対策を徹底したり、すでに入院している患者を移動させたりする大変な作業です。

重症者が倍増している状況からとても"ひっ迫していない"などとは申し上げられません。感染患者の対応には、多くのマンパワーが必要です。何より対応の長期化で、医療は本当に疲弊しています」と発言されたが、東京のコロナ担当看護師不足を知り、理解できた。

 午後0時、近くにある「福島鈴庵」に行き"ハンバーグ定食 表示"を食べた。福島鈴庵 表示は、カウンター4席、テーブル2つの古民家を改築した小さな居酒屋だ。カツオのタタキ、豚汁など10品で、ハンバーグは白ワイン玉葱ソースと手が込んでいる。1000円と安くて美味しく、"鰆の西京焼き定食 表示"もいい。夫婦が23歳の幼児の面倒を見ながら、料理されている。飲食業界を国は救ってくれるのか?

2008年リーマンショックの時、財務省OBの友人と"ウエスティンホテル大阪"でフランス料理を食べながら話をした。友人は「今の日本は、全ての業界を救う体力はない。自動車業界・電機業界は救うだろうが、建設業界・不動産業界は救わないのではないか」と予測していた。

その後、自動車業界はエコカー減税で、電機業界はエコポイントで救済され、友人の"先を読む力"に感心した。

新型コロナによる経済不況は、リーマンショックに比べはるかに大きい。今の日本には、とても全ての業界を救う力などない。医療業界・介護業界・飲食業界・ホテル業界・航空業界・エンタメ業界・アパレル業界・・・、国はどの業界を救うのだろうか?

新型コロナは、地方にも感染が広がってきている。医療崩壊を起こさせないためには、新型コロナを直接担当した医師・看護師などの医療従事者、コロナ患者を受け入れた病院を、ピンポイントで支援する必要がある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について