新型コロナと抗体検査・肥満・ダイエット

2020年4月23日

    2020421日、新型コロナ「緊急事態宣言」から2週間が経った。

日本で確認された感染者は12228人、死亡291人となっている。オーバーシュート(爆発的患者急増)は起きていないが、患者数は減少していない。

夕方、テレビをつけるとアナウンサーが「ニューヨーク州のクオモ知事は"ニューヨーク州の感染者は247000人と全米最多だ。実際の感染者数を把握するため、今日から無作為に選ばれた3000人の住民を対象に抗体検査を始める。すでに感染した人は免疫があると考えられ、経済活動再開の時期を判断するデータになる"と会見した。

抗体検査は、既にカリフォルニア州で実施されている。ロサンゼルス(LA)郡と南カリフォルニア大学(USC)シュワルチェネッガー研究所のチームは、410日から2日間、無作為に選んだ成人863人から血液を採取し、抗体検査を実施。分析の結果、ロサンゼルス郡の22万人から44万人が既に感染し抗体を持っていた。

この人数は、これまでに感染が確認されている8000人に比べ28倍から55倍にのぼる。LA郡の全住民の2.8%から5.6%にとどまっていることになる。研究チームのメンバーは"まだ流行はごく初期の段階で、さらに大勢の人達が感染する可能性がある"と指摘している」と放送していた。

USC 表示の公衆衛生学は全米一で、シュワルチェネッガー 表示は、2000万ドル(212156万円)をUSCに寄付し、息子さん2人はUSCに入学している。LA-USC医療センター 表示は、同じ一つの建物にある。USC留学時代は、病院の食堂で毎日ランチを食べていた。1980年代、USCの肥満学は全米一で、多くの留学生がブレイ教授 表示のもとで肥満研究をしていた。

一般に人口の6070%が集団免疫を持つと、流行が終息するとされている。新型コロナウイルスの抗体ができる期間、持続する期間、抗体を持つと再感染するかどうかなどわかっていない。抗体検査は、個人に役立つかどうか不明だが、疫学として集団の感染状況の把握には役立つ。

午後11時半頃、テレビをつけると有働由美子アナウンサーが、ノーベル賞を受賞した山中伸弥京大教授、専門家会議の尾身茂副座長と3人で対談していた。尾身氏は「若い人の感染が増えている。痩せた人は、肺炎が重症化しやすい。新型コロナが流行している間は、過激なダイエットは止め、たんぱく質や糖質は制限しないようにして下さい」と話されていた。

武漢から"新型肺炎死亡例で血清アルブミン(たんぱく質)が低下していること"が報告されている。私たちは、BMIが低い痩せで肺炎が多いことを報告した 表示(徳永他:Int J Obesity 1991)。先日、ダイエットで12kg減量した女性タレントが、「新型コロナウイルスに感染した」と公表していた。

欧米各国から"肥満に新型コロナ重症例が多いこと"が相次いで報告され、肥満が重症化リスクであることが明らかになっている。新型コロナと肥満や痩せとの関係は、国や民族によって違うのかもしれない。日本で肥満が悪いかどうかは、明らかになっていない。

新型コロナウイルスの抗体検査は、疫学的に感染状況を把握するため必要だ。過激なダイエットは、新型コロナに感染症しやすく重症化させる。免疫力を落とさないためには、良質な蛋白やビタミンを十分摂取することが重要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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