「バブル:日本迷走の原点」と老後の資産運用

2017年10月26日

    20171019日、大阪市北区で異業種の会があった。

午後6時、著述家 永野健二氏による特別講演「バブル:日本迷走の原点」があった。永野氏は、私と同じ68歳で、1973年京都大学経済学部を卒業。日経新聞証券部の記者として、兜町に20年間におられた。201611月新潮社から発行された「バブル1980-1989」はベストセラーとなり、ノンフィクション部門で1位となっている。

永野氏は「2度大病を患い講演できなかったが、1年以上前から頼まれていたので講演に来た」と座って講演をされた。「金融緩和で、お金がじゃぶじゃぶとなり、日経平均株価は21400円と3倍になった。不動産価格もバブル期を上回った。現在の日本経済はバブル期と似た空気を感じる。デフレの中のバブルだ。今の新聞記者は、バブル期のことを知らない。私しか知らない30年前のことを話したい。

バブルがはじける2年前、証券会社社長のインタビューをした。社長は『近くバブルがはじけ、株は暴落する』と話されたが、証券会社の部下の人達から『まだ儲かる。記事にしないでくれ』と必死に頼まれ、記事にしなかった。日経新聞社内では、近くバブルがはじけることが共有されていた。新聞はコマーシャルで成り立っているので、記事にするには多くの制約がある。

バブルの原点は、ニクソンショック、オイルショックの頃から始まった。世界がグローバル化する中、日本の金融機関の改革は護送船団方式で遅れた。1980年代のバブルは、日本の銀行が作り出した土地バブルだった。・・・」と話された。

午後715分、懇親会があった。左隣りは保守系新聞社、右隣りはリベラル系新聞社の人だった。帆立貝と茸のソテー カボチャのスープ添え 表示、北海道厚岸産・蝦夷鹿股肉のロースト ジン風味のソース  表示を食べながら、永野氏への質疑応答を聴いた。

1022日の衆議院選挙はどうなるか」の問いに、永野氏は「与党が圧勝するだろう。日本はものづくりで成長してきた国なのに、安保法制・社会保障・教育のことばかりで、与党も野党も会社・企業のことに全く触れない。もっと、日本の企業に力を入れなくてはならない」と答えられた。

「人生で1番楽しかったのはいつか」の問いに「日経ビジネスの編集長をしていた時が一番楽しかった。日経ビジネスは、コマーシャルのない雑誌なので好きなことが書けた。当時38万部と、日本で最もビッグな経済雑誌だったので、ビルゲイツなど世界の経営者にインタビューすることができた」と答えられた。

翌日、大学時代のクラスメートに「デフレだが、近くバブルがはじけるかもしれない」と話すと、「19000円の時に利益が確定したので、株を全部現金に替えた」、「オーストラリア債権を買い、リスクを分散させている」と言う。

銀行OBの友人に聞くと、「30年前と今は状況が違う。都会の不動産はバブル期を上回ったが、地方は低下したままだ。北朝鮮、米国、中国と取り巻く環境が違い、何が起こるかわからない。バブルが近くはじけるとは限らない」と言う。

人は皆、大病を患うと、自分しか知らなかったことを、後世の人に伝えたくなるものかもしれない。バブルはデフレでも起こる可能性がある。老後の資産運用は、リスクを分散していた方がよさそうだ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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