68歳誕生日と市立病院勤務医・労働基準法

2017年6月 3日

    201761日、68歳の誕生日を迎えた。

ケーキに大きなローソク6本、小さなローソク8本を立てて祝った。息子からは芋焼酎"魔王"を、娘からは「父の日に一緒にプレゼントする」とメールがあった。市立病院時代は忙しくて、家族と誕生日を祝う余裕はなかった。

神戸大学の先生からも「誕生日おめでとうございます。いつも先生のブログ楽しみに読んでいます」とメールがあった。メタボリック教室も、200661日から始めて11年、653段目になる。書きたいことを書き終えた時の爽快感が、書きつづける原動力になっているのだろう。

 

今朝(61日)の朝刊に「研修医が過労自殺」「新潟 救急対応増 残業251時間」「労災認定に」の3段見出しで記事が載っていた。20161月、新潟市民病院の研修医が自殺だったのは、過労が原因だったとして、新潟労働基準監督署は31日、労災認定する方針を決めた。・・月平均時間外労働(残業)時間は厚生労働省が"過労死ライン"と位置付ける80時間の2倍を超える約187時間、最も多い月では251時間に達していた」と書いてある。

ここ45年、「先生の所で、雇ってもらえないですか」という相談が増えた。いずれも市立病院部長クラスだ。「市立病院では当直もあり、体力的にしんどくなった。9時~5時の所に勤務したい。患者は"市民病院の医師は、自分たちの税金で養ってやっている"という意識が強く、あまり感謝されない」と言う。

 

救急が増え、院長が当直している市立病院もある。市立病院の年収は、私立病院より低い。市立病院時代、いくつかの私立病院からヘッドハンティングが来たが、年収は市立病院に比べ1.52.3倍高かった。

私が市立病院に勤務する時の条件は、「当直は月2回で50歳まで、外来は週2日」だったが、55歳で退職したとき、休日日直月3回、外来は週5日になっていた。毎日、8時以降まで病院で働き、週30時間、月130時間は残業(日直含む)していた。当直料は24000円で、時給1500円だった。

市立病院勤務時代、市役所の友人は「この10年間で、外来患者は40%増えた。労働組合は徹夜交渉を行い、市長は看護師を5人ずつ増やすことで妥結している。看護師は10年間で50人増員したが、医師は10年で1人しか増員していない。医者も労働組合を作って、増員したらいい」とアドバイスしてくれた。

 

先月、大学病院勤務医と話をした。若手勤務医は「大学の時給は1300円だ。病棟を担当すると、受け持ち患者の全てを診なくてはならず、激務となっている。医者は労働者だ。労働基準法で守られなくてはならない。24時間の主治医制を止めて、平日日中だけの担当医制にした方がいい」と言っていた。

最近、市立病院勤務医の訃報がつづく。市立病院の存在より、自分の命の方が大切だ。逃げ出せばいい。医師免許はプラチナカードで、9時~5時の仕事はいくらでもある。

68歳の誕生日を、無事迎えることができた。市立病院勤務医は、救急医療で過重労働になっている。肉体的・精神的に追い詰められたら、義理やプライドを捨て当直のない診療所などに勤務するとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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