名古屋宣言2015と肥満症(obesity disease)

2015年10月10日

   20151023日、名古屋市熱田区にある名古屋国際会議場で「第36回日本肥満学会(箕越靖彦会長)」が開催された。

101日午後615分、評議委員会があった。松澤佑次元日本肥満学会理事長は、「日本肥満学会が"健康障害を伴う肥満は、肥満症という病気である"と提唱してから15年が経つ。しかし、国際的には、肥満はまだ病気のリクスファクターと考えられている。日本が提唱した肥満症という概念を、アジア・オセアニア肥満学会で認められるようにしたい」と発言された。

ANAクラウンプラザホテル名古屋2015号室に宿泊した。浴漕と別にシャワールームがあり、日本のホテルも使いやすくなった。部屋 表示から、はるか遠く名古屋港が見える。

102日、ホテルの朝食は和洋バイキングで、郷土料理のひつまぶし、天むす、手羽先、味噌カツがあった。地方のホテルの朝食バイキングは、郷土料理が出てくるので楽しみだ。

午後450分、第8回アジア・オセアニア肥満学会の国際シンポジウム「肥満は危険因子か病気か」があり、"健康障害を伴う肥満は肥満症という病気である"ことでまとまった。肥満症の英訳に関して、英語圏の人は"obesity disease"に違和感があるようだが、"obesity as a disease"では病名らしくない。「カロウシ、カラオケと同じく、日本発の概念であることから"himan-syo"にしては」という意見もあった。

103日午後150分、名古屋宣言2015があった。壇上 表示の机の前に国旗が一列に並べられ、日本、韓国、台湾、香港、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、オーストラリア、ニュージーランドなど12の国と地域の人が旗の前に着席された。春日雅人日本肥満学会理事長が、スライドで「名古屋宣言2015」の英文 表示と和訳 表示を読み上げられ、各国代表がサインをし、全会一致で採択された。

 

肥満症の概念を松澤佑次先生が提唱されたのは、15年よりずっと前だった。自宅に帰って、いつ提唱されたか調べてみた。15年前の日本肥満学会「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準2000 表示」の肥満症の定義は「肥満症は肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾病単位として取り扱う 表示」となっており、「肥満症診断基準2011 表示」や名古屋宣言2015と同じだ。

日本肥満学会の「肥満症ー診断・治療・指導のてびき」(医歯薬出版1993)の肥満症の定義 表示もほぼ同じだ。松澤先生と私との共著では、臨床検査1991354表示、内科1990656号の肥満症診断基準(案) 表示が早い。最も早い論文は、多分、松澤先生の臨床科学199026巻だろう。25年間、「肥満と肥満症を明確に区別し、肥満症は医学的治療が必要な疾病だ」とぶれないで主張しつづけたことが実を結んだ。

名古屋宣言2015で、大阪大学から発信された肥満症の概念は、アジア・オセアニア地域で、obesity diseaseとして、公式に採択された。肥満症の予防医学、新たな治療法の開発が期待される。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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