第57回日本糖尿病学会と「布の縦糸・横糸」

2014年5月27日

   201452224日、大阪国際会議場で「第57回日本糖尿病学会」が開催された。

521日午後450分、リーガロイヤルホテル大阪で評議員会があった。糖尿病学会員は219名増え、17151人になった。

午後810分、ロイヤルホールで懇親会があった。会長の花房俊昭 表示大阪医大第1内科教授は、「大阪の大学が日本糖尿病学会を主催するのは、1983年垂井清一郎阪大2内教授(写真 表示中央)が会長をされて以来、31年ぶりになる」と挨拶された。

花房教授と、兵庫医大病院長の難波光義糖尿病内分泌代謝教授 表示1978年阪大2内入局で、私と同じ垂井内科一期生になる。31年前、垂井先生は会長講演で、糖尿病を布地に例え、IDDM(インスリン依存型糖尿病)とNIDDM(インスリン非依存型糖尿病)を縦糸(病態・病期)、1型糖尿病と2型糖尿病を横糸(成因・発症機序)に、糖尿病を分類されている(糖尿病治療ガイド2014p14)。

この考え方は、31年経った今も色あせておらず、米国糖尿病学会1997年、WHO1998年にも取り入れられている。

 

522日午後540分、堂島川沿いにある「リバーフォーラム」でポスターセッションがあった。ここは私が21年間いた阪大病院跡地で、2内の7階東病棟があった所だ。

豊見城中央病院の比嘉盛丈糖尿病・生活習慣病センターによる「沖縄県在住肥満者における食嗜好の傾向」があり、「健診受信者7908名を検討し、BMIの高い肥満者は揚げ物、天ぷら、肉類(ベーコン・ハム・ウィンナー)、缶詰(ポーク・ツナ・コーンビーフハッシュ)など高カロリーのものを多く摂取し、魚介・野菜・果物を嫌う」と発表された。

私が「厚労省の調査で、沖縄県の摂食量・歩行数は中くらいなのに肥満が多いのは何故か」質問すると、「沖縄は平地が多く、運動量が少ないからかもしれない」と答えられた。

比嘉先生と名刺交換をした。「下村先生の所ですか。下村先生とは、米国テキサス大学で一緒でした。徳永先生のことは、下村先生からよく聞いていました」と言われた。今回の糖尿病学会演題数ランキングは、第1位は門脇孝東大教授で61題、第2位は下村伊一郎阪大教授(写真 表示左から3人目)で58題となっている。7年前に予測(メタボ教室第107段「内臓脂肪型肥満ネーミング」)した東西対決は、予想通りになった。

 

私のメタボリック教室も、メタボ・肥満・糖尿病・動脈硬化を縦糸に、その時々の出来事を横糸に構成されている。日々、新たなことが起こるので、つづけることができる。布地は縦糸と横糸が交互に組み合って、強い布に仕上がっていく。

34600万人と、世界で爆発的に糖尿病が増加している中、上昇しつづけていた日本の糖尿病予備軍は、2013年初めて減少に転じた。これは、医療者と行政・マスコミという縦糸と横糸の協力が大きい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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