沖縄県宮古島の食文化と肥満・平均寿命

2014年2月11日

   2014279日、沖縄県の宮古島市に行った。

27日午前910分、JAL2081便8E 席で伊丹空港から那覇空港に向かった。大阪は1℃と寒かったが、那覇は22℃と暖かい。那覇空港内は、修学旅行や観光客でごった返していた。JTA559便23A 席で宮古島空港に向かった。宮古島はサンゴ礁でできた平らな島で、空から見るとサトウキビ畑が、きれいに区画整理されていた。

 

沖縄県は長寿の県として知られていたが、2010年には男性30位、女性3位に転落した。特に、宮古島市の平均寿命は男女とも、この5年間で短くなり、沖縄県にある42市町村中、男性は78.0歳と42位、女性は86.2歳と39位に下がっている。

その要因として、肥満が原因ではないかと考えられている。宮古島市のBMI25以上の肥満の頻度は、男性では55%と沖縄県46%・全国21%に比べ高く、女性でも35%と沖縄県32%、全国19%に比べ高い。宮古島市の糖尿病、高血圧の頻度も沖縄県・全国に比べ高くなっている(厚労省2010年)。

 

午後245分、ホテルアトールエメラルド宮古島912号室に宿泊した。エメラルド色の海が広がり、向かいに伊良部島、右手に池間島、左手に建設中の伊良部大橋が見える。昨年のNHK朝の連続ドラマ「純と愛」のスタッフは、このホテルに宿泊していたという。ロビーにある宮古島市の地図上に、ロケ地と撮影風景の写真が飾ってあった。

 

午後4時、宮古島北部観光に行った。砂山ビーチ、西平安名崎、雪塩製塩所、池間大橋、池間島、島尻マングローブ林を巡った。

道沿いに墓地があり、一つ一つの墓には大きな屋根があった。島の人は先祖を大切にし、旧正月には墓の屋根の下に集まって、「オトーリ」をするという。

 

オトーリは宮古島にしかない酒の飲み方の文化で、親が演説をして150㏄の泡盛を一気飲みし、右回りで全員に注いで回り、みんな一気飲みするという。次は右隣りの人が親となり、同じように演説・一気飲みをして一周し、これを繰り返す。泡盛はタイ米で作られ、泡盛のアルコール度は30度と高いので、泡盛1に水3を混ぜる。

泡盛だけだと胃がもたれるので、食べ過ぎてしまう。演説が短いと、すぐにオトーリが回って来るので、できるだけ長く話をする。宮古島出身の人は、オトーリで鍛えられているので演説がうまい。

オトーリは泡盛が希少品だった時代、貧富の差なく平等に酒が飲めることから始まった。長老・若者の区別なく、日頃言いたかったことが言え、コミュニケーションを保つのにいい。飲めない人は、必ずしも飲まなくていいという。

 

宮古島に肥満が多く、平均寿命が短くなった要因の一つは、宮古島の伝統的な酒の飲み方「オトーリ」によるものかもしれない。オトーリでは、泡盛を薄める・量を少なくするなど工夫する必要がありそうだ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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