京都曼殊院門跡の紅葉とHbA1cの季節変動

2013年11月28日

    20131123日、京都国際会議場で「第50回日本糖尿病学会近畿地方会(稲垣暢也会長)」が開催された。

午前625分自宅を出発、この連休が紅葉の見頃で名神高速道は混雑しており、7時前なのに桂パーキングエリアは満車になっていた。京都北山通りの銀杏は黄色に、宝ヶ池の紅葉は真紅に色づいていた。

 

午前940分、山本康久那智勝浦町立温泉病院長と一般演題の座長をした。市立伊丹病院糖尿病内科の正木ゆづき医師らによる「糖尿病患者におけるHbA1c、コレステロール値の季節変動について」があった。

正木氏は「2007年から6年間、外来患者のHbA1c・コレステロール値を1か月ごとに延べ2800回測定した。HbA1c ・コレステロールとも夏に比べ冬が高値で、HbA1c0.39%、コレステロールは9.8mg/dl高くなっていた。冬に高いのは、運動不足などが原因と考えられる。季節変動を考慮した治療や指導が必要だ」と述べられた。

私は「人間ドック18000人で検討したが、HbA1c・コレステロール・血圧とも季節変動があり、やはり冬の方が高かった。数多くの同じ糖尿病患者さんを対象とされており、興味深い」とコメントした。人間ドック(健常人)では、HbA1cの差は0.1%だった。糖尿病患者で季節変動がより大きいのは、冬の運動量が少ないためか。

 

午後3時、学会場から近い左京区一乗寺にある曼殊院(まんしゅいん)門跡に行った。曼殊院の前の道は細く、観光客を乗せたタクシーが数珠つなぎになり、人の列と対向車で、車が身動き取れないような状態になっていた。曼殊院の前には池があり、白に橙模様のある鯉など大きな鯉がたくさん泳いでおり、池周囲の紅葉は鮮やかな真紅になっていた。

曼殊院に入ると、天皇皇后両陛下が平成24123日にご訪問された時の写真が、各所に飾ってあった。123日は、父の誕生日と同じだ。

竹の間では不動明王が特別公開されており、虎の間の襖には狩野永徳の"虎と豹"の絵が描かれていた。「日本には虎も豹も生息しておらず、輸入された毛皮から想像し、虎をオス、豹をメスと間違えて描かれたものだ」という。見たこともない虎を描くことのできる画家の想像力に感心した。

庭園は小堀遠州作の枯山水で、夜間はライトアップされる。大書院前の樹齢400年の五葉松は、地をはうように横にのびた形がいい。十雪の間、富士の間には狩野探幽の襖絵があり、国宝の黄不動明王は京都国立博物館に寄託されていた。豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄の書や織田信長の印もあり、見所が多い。

 

糖尿病の指標HbA1cには季節変動があり、冬は夏に比べHbA1cが上昇する。その要因として運動不足が考えられる。紅葉から桜の季節にかけ、寒くても糖尿病予防のため戸外に出て、景色を眺めながら歩くとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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