大阪大正区の食・街歩きと果糖・内臓脂肪型肥満

2013年10月24日

    20131019日、大阪市大正区街歩きをした。

午後1230分、大正区平尾から南恩加島界隈を散策した。大正区は人口67000人の4分の1を、沖縄出身者とその家族で占めている。港が近く、IHIなど工場が多い。

 

午後120分、沖縄料理店「うるま御殿」に行き、"テチビ汁定食"を食べた。24畳敷きで、舞台にはマイクが3本、太鼓が2つあり、毎晩午後9時と1030分に民謡ショーをしているという。沖縄の人は情熱的だ。

テチビ(豚足)はよく茹で脂抜きされており、テチビ汁には大きく切った大根・人参・茄子や昆布が入っていた。炊き込みご飯に、切り干し大根と白菜の煮物の小鉢が2皿、漬物、フルーツがついている。もずくの天ぷら、らっきょの天ぷらなど珍しいメニューが多い。

 

沖縄料理は野菜が多くヘルシーなのに、何故、沖縄で肥満が増加したのか?今月開催された日本肥満学会のシンポジウムやランチョンセミナーでは、ファーストフードが大きな要因として取り上げられていた。

ファーストフードのソフトドリンクには、高果糖コーンシロップが入っている。Lustig2012年のNatureに「果糖を過剰摂取すると肥満になり、インスリン抵抗性、高血圧、高尿酸血症、心筋梗塞、脂質異常症、膵炎、肝機能障害(NASH)を引き起こす」とコメントしている。

 

後輩医師は「スーパーやコンビニで売っているソフトドリンクの多くに"果糖・ブドウ糖液糖"が入っている。一般の消費者は、果糖という言葉に果物を連想し、果糖はいいものだという誤解がある。食品表示は成分の多い順に書いてある。ペットボトルの成分表に"果糖"が記載してあるかどうか確認して買うとよい」と言う。

 

内臓脂肪型肥満について、週刊朝日(19981125日号9496ページ 表示)から取材を受けた時、「ラットに砂糖を過剰投与したら、内臓脂肪が蓄積した(メタボ教室第436段「果糖・コーンシロップ」)。砂糖や果糖には注意が必要だ」と話した。

その後、Stanhopeらによって、果糖を過剰摂取すると内臓脂肪を増やすことがヒトで証明された(JCI 2009)。エネルギー比25%の高果糖飲料を10週間飲み続けた群では、ブドウ糖だけを飲んだ群に比べ、CTスキャンで測定した内臓脂肪量が有意に増加している。

 

日本での砂糖消費量は、この30年で164gから53gへ減少しているが、トウモロコシから作られる果糖・ブドウ糖液糖など異性化糖の摂取量は17g増加している。

果糖の過剰摂取は内臓脂肪を蓄積させ、生活習慣病を引き起こす。果糖を摂り過ぎないためには、ファーストフード店では果糖抜きドリンクを飲み、食品・飲料は成分表示をよくみて選ぶとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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