第34回日本肥満学会とアトキンスダイエット

2013年10月14日

    2013101112日、東京フォーラムで「第34回日本肥満学会(門脇孝会長)」が開催された。

1010日午後530分、評議員会があった。新理事長に春日雅人国立国際医療センター長が選ばれ、女性理事も2名誕生した。第37回の会長は、東京医科歯科大学の小川佳宏教授に決まった。

 

午後715分、会長招宴があり、座席指定となっていた。私のテーブルは10名で、片山茂裕埼玉医科大学病院長、寺本民生帝京大学臨床研究センター長、川上正舒練馬光が丘病院長、中村丁次神奈川県立保健福祉大学学長など、私と同世代の懐かしい人が多い。

 

片山先生とは、埼玉医大に招かれ、講堂で「内臓脂肪蓄積型肥満―臨床研究から分子生物学まで」の講演をしたことがある。寺本先生(前日本内科学会理事長)とは、宮崎県医師会内科医会に招かれ、「内臓脂肪型肥満の病態・成因とその治療」の講演をした後、宮崎シーガイアホテルで食事をしたことがある。川上先生とは、成人病研究会に招かれ、浦和パインズホテルで、「新しい肥満症診断基準とそのエビデンス」の講演をしたことがある。

同年輩だと同じ立場の人が多いので、本音で話ができる。「今の学長や病院長は、経営のことなども考えねばならず、ストレスが多い。体調を崩された学長もおられる」という。

 

途中、門脇会長(日本糖尿病学会理事長)が、私達のテーブルに回ってこられた。私が「明後日の教育講演で栄養指導の話をするが、炭水化物(糖質)は何%ぐらいがいいか」と聞くと、門脇会長は「炭水化物は5060%で、45%や40%にすると脂肪と蛋白質の割合が増えるので、脂肪の質や腎障害の有無も考える必要がある」と答えられた。

 

「糖質を50g以下にするアトキンスダイエット(メタボ教室第439段「糖質制限食」)が、アメリカで取り上げられたのには裏がある」

「アメリカで『果糖(メタボ教室第436段「果糖・コーンシロップ」、第491段「果糖・ブドウ糖液」)が健康によくない』と言えないことも、大きな圧力団体の存在があるからだ」

「サプリメントの中には、全く効果がないものがある。テレビは広告料をもらっているので報じない」

「テレビに生出演するときには、『食品で健康にいいことは話してもいいが、よくないことには触れないで下さい』と言われる」など、公の場では言えない話で盛り上がり、あっという間に2時間が経っていた。

 

本物の教養は、論文を読んだり、学会発表を聴くだけでは得られない。同じ分野で長年仕事をし、幅広い人生経験を持った指導的立場の人と話をすると、知識が豊富となり、自らを磨くことができる。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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