モスクワG20開幕と医療の成長戦略

2013年2月20日

    2013216日、朝刊1面の見出しは、「ロシアに隕石1000人けが」と「モスクワでG20開幕」だった。

新聞には"215日午後020分、ロシア・ウラル地方のチェルピンスク州で、隕石が飛来して上空で爆発、1000人以上の負傷者を出している"、"15日深夜、モスクワで主要20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行会議が開幕し、アベノミクス(金融緩和・財政出動・成長戦略を3本の矢とする成長経済政策)が、初めて国際会議で取り上げられる"と書いてあった。

 

主催国ロシアのプーチン大統領は、ロシア経済安定戦略を医療、再生エネルギー、原子力、航空宇宙、情報通信の5分野とし、医療をトップに挙げている。世界の医療市場はここ10年間、毎年8.7%成長し、2010年の市場規模は520兆円となっている(メタボ教室第395段「大阪医療開国構想」)。

以前、府市統合本部の人に「大阪の成長戦略の一つとして医療を考え、ブレインとして数人候補者があがっている」と相談されたことがある。私は「すり寄ってくる人の中には、自分の利益からの場合もある。阪大元総長がいいのではないか」とアドバイスした。

 

今月7日、職場近くの日本料理店「ゆうき」で昼ごはんを食べていると、テレビで衆議院予算委員会の国会中継をしていた。

質問に立った国会議員が安倍総理に「医療の成長戦略には、山中伸弥教授のiPS細胞のような独創的な研究が必要だ。山中教授が科学技術振興機構から研究費を獲得できたのは、審査をした阪大元総長の目利きによる。阪大元総長がいなかったら、iPS細胞はできなかったかもしれない。医療の成長戦略には、阪大元総長のような目利きが必要だ」と発言されていた。

阪大元総長には全国紙で「メタボリックシンドロームは、CTスキャンをコピーして、ハサミで切って内臓脂肪面積を出したことから始まっている。こういう地道な研究が、イノベーションにつながる」と、私たちの研究を高く評価してもらったことがある。

一昨年11月、大阪市天王寺区で異業種の会があった。隣席になった関西財界の人に、「最近、よくお目にかかりますなあ。先生は大阪大学出身ですか。以前は、阪大元総長をよくお見かけしました」と言われた。

阪大元総長はIL-6(インターロイキン-6)やIL-2を発見された世界的な研究者で、医学一筋の先生だと思っていたので、財界など異業種の人と盛んに交流されていたことは意外だった。

 

国の友人は「医学部新設をしてほしい大学は、なかなか手を挙げてくれない」と言う。医療の成長戦略のブレインには、なりたい人より、なって欲しい人を。医学的知識に加え経済にも精通した目利きの人がいい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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