子どもの睡眠と学力・体力・いじめ問題

2013年1月30日

    2013125日、雪の降る中、第41回日本総合健診医学会がウェスティンホテル仙台で開催された。 

午後110分、東北大学加齢医学研究所川島隆太教授による特別講演「スマート・エイジングー脳科学からみた子どもの心身を健康に育む方法」があった。

川島隆太教授は、「最近の小中学生は、すぐに疲れたという。夜更かし型の社会になり、起床時間はそのままなので、睡眠不足となる。慢性睡眠不足の状態になると、ミトコンドリアの機能が障害され、疲れやすくなる。

睡眠習慣と脳の発達には密接な関連がある。文科省の調査で、睡眠を十分とった子どもは、睡眠時間が6時間以下や睡眠時間が長すぎる子どもに比べ、学力・体力ともによいことが明らかになっている。T大医学部に入学した学生の80%は、午後11時までに寝ている。記憶はレム睡眠の時に固定されるので、夜中の1時2時まで勉強しても逆に効率が悪くなる」と話された。

 

同様のことを、どこかに書いた記憶がある。1988827日の産経新聞(メタボ教室第450段「受験生のための健康講座」)に、「規則正しく十分な睡眠をとることは、頭のリズムを整え、疲労感や集中力、能率の低下を防ぐことになる」と書いていた。

私が小学生の頃は9時以降、中学生の頃は10時以降、高校生の頃は11時以降に起きていると、父に叱られていた。

 

また、川島教授は「長時間睡眠をとっている子どもが学力・体力ともに低いのは、携帯・スマホの電源を切らず枕元に置いて寝ている子が多いためだ。メールにすぐ返事を出さないと、シカトされ、いじめの対象になることがある。熟睡できていない。

子ども向けテレビ番組が、夜遅く放送されているのも問題だ。日曜日9時から子ども人気番組が放送されていた頃は、月曜日の幼稚園の先生は疲れた幼稚園児に困っていた。子ども向けアニメが午後9時から放送されることもある。低俗番組といわれた"8時だョ!全員集合"でも、850分には『歯磨いたかぁ~?早く寝ろよぉ~!』と言っていた」と述べられた。

 後輩医師は「携帯・スマホを持っている子は、すぐに出ないと仲間外れになる。寝るときだけでなく、お風呂やトイレにまで持っていく携帯・スマホ中毒になっている子どももいる。私の子どもには、携帯もスマホも持たせていない」と言う。

 

夜間の携帯・スマホの使用は、子どもの睡眠を妨げ、学力・体力の低下、いじめの原因ともなっている。親と学校は協力して、「勉強中・夜間には、携帯・スマホの電源を切るよう」子どもに教育する必要がある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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