神戸三宮の食と糖質制限食

2012年8月22日

    2012819日、「カミーユ・ピサロと印象派展」を観に、神戸の兵庫県立美術館へ行った。

兵庫県立美術館は、今年で開館10周年になる。ピサロはフランス印象派の画家で、セザンヌやゴッホはピサロを師と仰いでいた。日本で所蔵されているものも多くモネ、クールベ、ゴーギャンやルノアールの作品もあった。

 昼食は、三宮に行き、神戸の友人お勧めの「神戸菊水すてーき屋」で、フィレステーキランチを食べた。3カ所のカウンターの中に白い帽子をかぶったシェフがいて、目の前で焼いてくれる。付きだしは肉の煮物でサラダ、ご飯、味噌汁、漬物、シャーベットがついていた。

 

今年6月末、テレビのダイエット番組で「糖質を制限すれば、ステーキはいくら食べてもいい」と放送していたことを思い出した。糖質が一食10g以下と極端に糖質が少ない糖質制限食となっていた。

72日、京都の大学教授から、「テレビで、肥満や糖尿病に糖質制限食がいいと言っていた。肥満や糖尿病の治療はカロリーを制限するよう、学生に講義している。最近、肥満や糖尿病の食事療法は変わったのか」と問われた。

私が「肥満では、昔から低炭水化物食のアトキンスダイエットが流行を繰り返している。日本肥満学会は低カロリー食を推奨している。肥満症ガイドライン2006では、炭水化物60%・脂肪2025%・蛋白質15%20%としている」と答えると、大学教授はさらに「肥満学会として、声明を出した方がいいのではないか。何故、抗議しないのか」と強い口調で言われた。

 

糖質制限食は短期的には体重が減少し、血糖値も下がる。肥満に関しては、体重減少は一時的なもので、1年も経つと同じになることが多い。動脈硬化に対する長期的な影響について、スウェーデン女性4万人を対象とした16年間の前向き研究で、低炭水化物食は心筋梗塞や脳血管障害の危険性が最大1.6倍高まることが報告されている(BMJ2012)。

低炭水化物ダイエットに関する51の論文を検討した結果では、低炭水化物ダイエットは高炭水化物ダイエットに比べ平均摂取カロリーが1467kcal少なく、ダイエット期間も23日短くなっている(NEJM2003)。糖質制限食による減量効果は、摂取カロリーの減少によるところが大きいと考えられる。

 

減量には蛋白質、脂質、炭水化物の比率よりもカロリー制限が重要であることが、ハーバード大学、ルイジアナ州立大学、NIHの共同研究により明らかとなっている(NEJM2009)。

インスリン治療中やSU薬治療中の肥満糖尿病患者が、130gの糖質制限食を行い、低血糖発作を起こした事例がある。糖尿病患者が極端な糖質制限食を行う場合は、医師の指導が必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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