ストレス・肥満と心を整える禅

2011年9月 4日

   201193日、大型台風12号が四国に上陸し、神戸女子大三宮キャンパスでの肥満講演が急遽中止になったため、届いた日本肥満学会雑誌「肥満研究」を読んだ。

肥満研究の最後に投稿規定があり、文献の学会雑誌記載例として、例1)徳永勝人、中村正、松澤佑次ほか:内臓脂肪症候群、日内会誌1992811831-1835.例2)Stunkard AJN Engl J Medが載っている。スタンカード先生は肥満の心理学、行動療法の創始者だ。

 

19901024日、スタンカード先生と話をした。中国禅宗の第六祖慧能(638713)の研究をされていた。

スタンカード先生(写真右から2人目)は「1300年前、中国北部の人は南部の人を一段低く見ていた。慧能(えのう)は南部の人も、北部の人も差はないと説いた」と言われる。1300年を経た現在、南北問題は中国国内から地球に舞台が拡がり、先進国と発展途上国間の問題になっている。

徳永勝人スタンカード.jpgスタンカード先生は、さらに「日本人と米国人、太った人と痩せた人、書く人と読む人の間には差はない」と言われた。太った人も痩せた人も、努力次第で普通の体型になることができるということか。いい文章を書ける人は他人の文章をよく理解し、他人の論文をよく理解できる人はいい論文を書くことができるということなのだろうか。 

写真の右端はバーバラハンセン米国肥満学会会長で、アイドルのような容姿をされていた。その後、ハンセン女史の所に阪大医学部を首席で卒業した後輩が留学し、現在は帰国して肥満遺伝子の研究をつづけている。左端はジャンルノー・ヨーロッパ肥満学会会長だ。

 

写真中央とその左のブレイ夫妻は、中国禅の開祖達磨(5世紀後半~6世紀前半)の収集をされていた。達磨は南インドで生まれ、中国で活躍された。禅は日本にも伝わり、臨済宗、曹洞宗を通して広まっている。

ブレイ教授は1980年最初のヴィレンドルフ賞(肥満学のノーベル賞に相当するもの)を受賞され、スタンカード教授は19986人目のヴィレンドルフ賞を受賞されている。開祖達磨と六祖慧能、1人目と6人目、偶然とはいえ面白い。

 

肥満の行動療法は、禅に造詣の深い心理学者から始まっている。軽いストレスで、過食から肥満になる。姿勢、呼吸、心を整える(調身、調息、調心)禅は、ストレスによる肥満を解消するよい手段になるかもしれない。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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