円高進行と世界一周旅行

2011年8月13日

   2011813日の新聞第一面の大見出しは「円高進行:海外へ進め!」だった。

「歴史的な円高が、東日本大震災で落ち込んでいた海外旅行者数の回復に追い風となっている。現地で割安に買い物ができるという期待感が高まっているためだ。成田空港や関西国際空港では、13日、今夏の出国ピークを迎え、両空港からこの1日だけでも6万人以上が海外に飛び立つ」と書いてある。

 1ドル76円と円高ドル安となっており、大学生には海外旅行をして見聞を広めるいいチャンスだ。これからの日本は産業が空洞化し、日本人は海外で働くことも多くなるだろう。

 

大学5年生の夏休み、同級生の田中健君、福並正剛君と西回りで「地球一周の旅」に出かけた。当時は1ドル301円だった。

徳永勝人世界一周.jpg1972726日、羽田空港を出発。香港、カルカッタ(コルカタ)、バーレーン、ローマ、ジュネーブ、ツーン、インターラーケン、ハイデルブルグ、フランクフルト、パリ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、アンカレッジと1カ月間世界一周旅行をした。

最初に行った香港の観光地では、バスを降りると4050人の子供たちが寄って来た。終戦直後の日本も、食糧不足で同じような光景だったのだろう。40年後の今は、高層ビルが林立する大都会となっている。イタリアではローマ帝国の衰退を感じた。ニューヨークの高層ビル街を見て、ここは世界の中心だと思った。

日本に着くと、友人のお母さんたちが無事かどうか心配して羽田空港まで出迎えに来られていた。帰国してからの1週間は、祭りのあとの淋しさで虚脱状態だった。

 

世界一周をした時のアルバムを眺める。若い頃の私はウエスト69センチだった。アルバムに写っている外国人たちに明らかな肥満はいない。勤務している健診センター受診者18000人のBMI35以上の高度肥満者は、男性では19730.024%から20090.507%へ21倍に、女性は19730.169%から20090.241%へ1.42倍になっている。この40年で世界の食糧事情や日本の生活習慣が、急激に変化したためだろう。

 

地球一周の旅をした時、40年後、世界に肥満が蔓延しようとは思いもしなかった。40年後、世界の肥満・メタボリックシンドロームはどうなっているのだろうか。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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