社会保障の現状と中学校区構想

2011年6月 7日

   201164日、ホテル阪急インターナショナルで、長妻昭元厚労大臣による「厚生労働大臣時代の闘いと社会保障の未来像」の講演会があった。

前から3列目のどまん中で聴いた。途中後ろを見ると、400席は満席で立見の人が3重になっており大盛況となっていた。

 

日本の社会保障費は高齢化により膨らみつづけ、2011年度予算ベースで107.8兆円(対GDP22.3%)、その内訳は年金が53.6兆円(50%)、医療が33.6兆円(31%)、介護が7.9兆円(7%)、・・となっている。負担は保険料59.6兆円(60%)、税39.4兆円(40%)となっている。

 

長妻氏は「現在は3人で1人の高齢者を支える騎馬戦スタイルだが、2035年には1人で1人を支える肩車スタイルになる。つい20年前は5人で1人を支えていた。20年後には結婚できない男性は3人に1人となり、離婚も多くなって3世帯に1世帯は母子家庭・父子家庭のひとり親家庭になる。 血縁・地縁・社縁が薄れており、全国1万ヶ所の中学校区で新しい見守りの地縁を創るとよい」と話された。

 

全国には1万の中学校があり、1学校区当たり平均すると1万2000人となる。司令塔として地域医療センターを1中学校区ごとに置き、住民は介護施設、訪問介護・訪問看護、デーサービス・ショートステイなどのメニューから必要なサービスを選択する。サービスは地域貢献を望む団塊の世代にも有力な担い手となってもらう。

中学校区は教育とも連動させ、中学生が自分の学校区内で、必ず一定期間ボランティアを実習すれば、学生の頃からボランティアの精神を身につけ経験を積むことができるという。

東日本大震災でも、生まれ育った地域で生涯暮らすことを望む人は多い。幼い頃から馴染みの深い中学校区を1つの単位として、福祉サービスをするとうまくいくかもしれない。

 

66日、午後545分、尼崎市にある近松公園に散歩に行った。いい天気で、27.5℃と暖かい。ナンキンハゼ、シラカシ、ハナミズキの緑の木立の下を通り、池の所に行った。薄い雲が東の空に、ゆっくりと流れて行く。振り返れば、木々の間からもれる夕陽がまぶしい。太陽エネルギー時計の前では、いつものように高齢の人達が、囲碁や将棋をしていた。

私たち団塊の世代が高齢者になった時、誰が支えてくれるのか。肩車スタイルでは長く歩くことはできない。騎馬戦スタイルの後ろ脚になるのは元気な高齢者か、中学生・高校生のボランティアか、それとも海外からの移住者か。間近に迫る単身少子高齢化社会に対し、地域の社会保障に関するグランドデザインを描く必要がある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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