映画・阪急電車とメタボリック教室

2011年4月29日

   2011426日火曜日、封切り4日目の映画「阪急電車~片道15分の奇跡」を観た。昭和のノスタルジアを感じさせる映画で、館内は中高年の夫妻や女性客で満員だった。

 

映画は阪急今津線を舞台にし、あずき色の車体の阪急電車が懐かしい風景の中を走っていく。同級生や後輩が結婚式を挙げた宝塚ホテルなど思い出の場所もたくさん出てくる。沿線に関西学院の他、神戸女学院、小林聖心など私立名門校があり、西宮北口に住んでいた私は1968年から2年間、今津線で阪大教養部のある石橋に通学していた。

 

萩原時江役の宮本信子の好演が光った。時江おばあちゃんは高瀬翔子(中谷美紀)を機微に富んだセリフで立ち直らせる。電車の中で乗り合わせた偶然の出会いが、名前も知らない人の人生に影響する。

時江の言葉が、強い者に逆らえない森岡ミサ(戸田恵梨香)を目覚めさせ、ミサの言葉が嫌だと言えない性格の伊藤康江(南果歩)に断る勇気を与える。阪急電車の中をわがもの顔で騒ぐおばちゃんたちを、時江は啖呵を切って打ち負かす。勧善懲悪の要素もあり、見おわったあと爽やかな気分になった。

 

主演の一人関学生の小坂圭一は広島弁で話し、その恋人の権田原美帆も田舎出身の関学生だったので、原作者は地方の出身だと推察したが、原作者の有川浩(ひろ)は関学出身の女流作家で高知県出身と、私の勘は当たっていた。

私の出会った関学生は、有川浩のような文学好きな女性が多かった。197115日広島県庄原市から帰阪時、岡山までの汽車の中で、隣の席になった上ヶ原に住むという関学文学部生から、神谷美恵子の「生きがいについて」と芹沢光治良の大河小説「人間の運命(全7巻)」を推薦された。1989220日から中国の北京・西安・桂林・上海に旅行した時に出会った関学出身の女性からは、鄭念の「上海の長い夜(上・下)」を推薦された。2人とも一度きりの出会いだが、本の内容は記憶に残った。

 

メタボリック教室も関学出身者との縁がなければ、3年前に終わりになっていたかもしれない。第69段「異邦人とメタボリック」の最後4行など、所どころ気にいってもらい「止めるのはもったいない」と言われ、新しいメタボリック教室のレイアウト(緑に青い空)から129段までの文章の打ち込みまでしてもらった。

阪急電車に偶然乗り合わせたたった一度の出会いが、他の人の人生に影響を与えていく。いろいろな人との出会いがメタボリック教室をつづけさせている。一期一会、二度と巡って来ないかもしれない人との出会いを大切にしたい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について