福島第1原発事故と日本人のこころ

2011年3月26日

2011325日、東北関東大震災から2週後の死者は1万35人、行方不明者は1万7443人、避難者は245350人となっている。

 

午後610分、大阪高槻に行くと岩手県、宮城県、福島県の太極拳各支部への募金活動をしていた。重見師範は集まった義援金を前に、少し目を潤ませ「みなさんの真心が届きますように」と言われ、募金箱に向かって両手を合わせて頭を下げられた。全員で黙祷をしたのち、太極拳を行った。

自宅に帰ると、友人から「今回の地震は未曾有の災害で人智の及ばない(津波対策や耐震建築であっても)ものであったと思います。現実的に原発のエネルギーなくして現代文明は支えられません。昨日東京に出張しましたが駅は薄暗く、エスカレーターはストップしています。障害者やお年よりは駅の階段は無理でしょう」とメールが入っていた。

 

震災のニュースは大津波の映像が多かったが、今は福島第1原発事故が多い。24日には3号機で復旧作業に当たっていた協力会社の3人が、高線量のベータ線に被曝している。

原発に関するニュースはCNNBBCもいっしょに観るようにしている。CNNトップニュースはFukushimaの風向きから始まっていた。放射能がどこに飛んで行くか、最も重要なのは風向きだからだろう。福島原発事故は日本国民だけの問題ではなく、放射能は偏西風に乗って米国・欧州へ飛んで行き、人類の将来に多大な影響を及ぼすかもわからない。

 

東京電力の324日時点での供給力は3650kWで、本来の最大出力6448kWに遠く及ばない。これは福島第1原発469kWや第2原発440kWなどが震災で停止したためだ。関東地方は電力不足で計画停電をしている。東京電力が発表した夏場の電力需要5500kWに対し供給能力は4650kWにすぎず、この夏は850kWの電量不足になる。

ドイツ、スイス、英国、オーストリア、フィンランドなどの大使館は原発事故を受け、東京から大阪、広島、福岡などに拠点を移している。外国人だけでなく、被災地の被災者も続々と関西に疎開される動きが続いている。

大阪・神戸のレストランやホテルは今、東京から避難してきている人達が増えている。このまま50Hz帯の電力不足がつづくと、関東・東北の50Hz帯から西日本の60Hz帯への人口移動が起こるかもしれない。

 

海外メディアは大災害にもかかわらず、暴動も起こさないで秩序ある行動をとっている日本の被災者たちの行動を賞賛している。命がけで福島第1原発事故に立ち向かっておられる自衛隊員、消防隊員、東電作業員の方々には頭が下がる思いだ。福島原発が、一刻も早く安全になることを願う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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