ピロリ菌除菌とメタボリックシンドローム

2010年1月30日

    2010123日午前、東京都市センターホテルでの総合健診医学会で「ヘリコバクタ・ピロリ菌は除菌すべきか」のディベートがあった。

 

除菌のメリットは、胃潰瘍や胃がんを少なくすることだ。日本人の疫学調査で、ピロリ菌の除菌が胃がんを抑制することが報告されている。 

除菌のデメリットは、逆流性食道炎が319%起こり、バレット食道がんが発生することがある。 また、除菌後、グレリン(胃から分泌されホルモンで食欲を増加させる)が増加し、太ってメタボリックシンドロームや高脂血症、高尿酸血症になりやすい。

 

短期的には胃がんを減少させるが、長期的には胃がんの発症率は変わらないという報告がある。日本はピロリ菌保有者が多いにもかかわらず世界一の長寿国になっており、ピロリ菌と共生・共存した方がいいという人もいる。ピロリ菌保有者の除菌が保険適応されると、年間4000億円、5年間で2兆円の巨大な市場となるという。

 胃・十二指腸潰瘍の治療に除菌をするのはいいだろうが、ピロリ菌保有者について、除菌すべきかどうか結論は出なかった。

 

23日午後6時から大阪市北区リーガロイヤルホテルで大阪大学医学部昭和49年卒の同窓会「49会」が開催された。

「剣道6段を目指して体を鍛えている」「毎朝公園でジョギングし、公園にいるホームレスに"兄貴"と呼ばれている」「211日テレビ大阪の"ルビコンの決断"でメタボが取り上げられる」と近況報告をしていった。沖縄出身の同級生に順番が回った時「沖縄の人達は、普天間基地の移転先が決まらなくて困っている」と切実な話をし、一瞬重苦しい雰囲気となった。

 

二次会をホテル地下のセラバーで行なった時も、沖縄出身の同級生が普天間問題を切り出した。「沖縄の人達だけに負担を負わしてはいけない」「鳩山総理は最初から県外移転を言っており、ブレていない」「関空に移転すればいい」「いや、神戸空港の方がいい」と、同級生を思いやる言葉がつづいた。

 

昨年末のテレビ局、新聞社、政界、官界、財界にいる友人との忘年会でも、普天間が話題になった。「関空に移転すれば、沖縄の人が喜ぶ」「関空対岸の土地も有効利用でき、泉南地区も活性化する」「沖縄に基地が移転して喜ぶのは、移転先周辺の土地を買い占めている人達と工事を請け負う建設業者だけだ」「関空に来れば、日本の中央で日本を守ることができる」と、10人全員が普天間の関空移転に賛成した。

 ピロリ菌除菌も、普天間基地移転もいろいろな考え方がある。ディベートが必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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