ホーチミンの家と日本の教育

2010年1月 4日

    20091230日午後、ハノイ市内にあるホーチミン廟に行った。

ホーチミンの家のパンフレットには10枚写真が載っており、英語、中国語、フランス語、韓国語で説明が書いてあるが、日本語がない。ガイドさんに聞くと「観光客はヨーロッパの人が一番多く、韓国の人が日本人の人より多いからだ」と答えられた。

 

1954年から1969年までホーチミンが晩年を過ごした家は、高床式の質素なものだった。ココナツの木があり、鳥の鳴き声が聞こえる。家の前にある池に餌がまかれると、水面から100匹近い鯉が飛び跳ねて寄ってきた。黒い鯉に混じって、橙色の鯉もいる。庭にあるザボンの木には大きな実がなり、重みで枝がたわんで折れそうになっていた。

 

次いで、ベトナム最古の大学の文廟(ぶんびょう)に行った。文廟は孔子を祭るため1070年建立され、孔子廟ともよばれる。科挙試験合格者の名が刻まれている石碑が82基あり、それぞれの石碑は亀の背中にのっていた。亀の頭をなでるとボケ防止になるとされ、亀の頭はピカピカに光っていた。

 

1週間前、大手メーカーの知人と日本の教育について話をした。「中国は教育熱心で、小学生は学校が終わった後、塾で2時間勉強し、家に帰ると毎日携帯電話で送られてくる宿題を3時間かけてやっている。ゆとり教育は子供の時はいいかもしれないが、社会に出てからの60年の人生の方が長い。脳は柔らかいうちに鍛えておいた方がいい」と言う。

 

米国在住の知人は、パソコンメーカーとIT会社の人事担当者に「日本人は韓国人、中国人に負けてしまう。韓国人や中国人は嫌なことでもするが、日本人は嫌なことはしない」と言われたという。"嫌なことはしなくていい、競争しなくていい"という日本の教育が、若い日本人の国際競争力を失わせているのかもしれない。

 

公認会計士の友人は「栄枯盛衰。栄えたものは必ず衰退する。日本の若い人にハングリーさが感じられない。これからの日本は、かって世界を2分したスペインやポルトガルのような国になるのではないか」と言う。

日本は教育国で、人が財産だったのに、これからの日本教育はどうすればよいのか?ナンバーワンよりオンリーワンなのか?

 

ベトナムの肥満児は都会、富裕層に多い。母親がほうびにケーキ、アイスクリーム、ファーストフードを与えるのも一因だという。日本でも肥満外来を受診した超肥満児がぐずりだした時、母親が「大人しくしなさい。後でアイスクリームを買ってあげるから」とあやすと、「チョコとバニラとイチゴのトリプルがいい」とせがんでいた。親の教育も必要だ。

 

 

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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