脊椎動物グルコースと太極拳の極意

2009年12月 8日

    2009125日、新大阪ワシントンホテルで第60回大阪大学第2内科内分泌代謝研究会が開催された。

 

特別講演は大阪大学第2内科垂井清一郎名誉教授による「生態系における糖質と光合成」だった。「最近、山高く水清き屋久島に行ってきた。日本の森林率は70%と、フィンランドと並んで高い。森林は大切で、森林がなくなると地球の生態系は崩れ砂漠が広がる。シュメール文明が滅亡したのも水がなくなったからだ。

 

脊椎動物はグルコース(ぶどう糖)を、昆虫はグルコースが二つでできたトレハロースを、植物はグルコースとフルクトース(果糖)でできたショ糖(砂糖)をエネルギー源として使っている。

何故、進化した脊椎動物が、安定した二糖類を使わないで不安定な単糖類のグルコースを使うのか。脊椎動物がグルコースを使うのは、放電後、神経へのエネルギー補給をスピーディーに行うためではないか」と話された。

 

懇親会で、市立病院勤務医と話をした。「市立病院の内科医師が開業して内科医不足になり、1カ月に15日も当直か夜間オンコールになっている。保険の書類が多すぎ、1度に5枚持ってくる患者もいる」と言う。病院勤務医の過重労働軽減のため、書類作成を手伝う事務クラークへの手当確保が必要だろう。

 

126日、午後130分から大阪市立大淀コミュニティーセンターで、「太極拳交流会」が開催され130名が参加した。午後340分から懇親会があり、広島から来られた玉森師範が丁度私の斜め前に座られ、今まで知らなかった太極拳についていろいろな話を聞くことができた。

「太極拳は常に筋肉を弛緩させておくことが必要だ。筋肉を弛緩させる目的は、相手から攻撃された時、すぐに反撃できる体制をとっておくためだ。筋肉を緊張させておくと、筋肉を一度緩め再び緊張させるため、攻撃に時間がかかる。筋肉を緊張させないためには肩関節、肘関節などの関節を135度以上開かないことだ。

太極拳の型は決まっておらず、何でもありの武道だが、筋肉をストレッチのように伸ばしたり、関節を135度以上開いたりすると太極拳ではなくなる。

太極拳は相手が自分より強い時に行う武道で、相手が攻撃してきた時は正面から受け止めないで、相手からの攻撃を90度別の方向にそらすことがコツだ」と1時間の間に、太極拳と体操との違いなど、興味ある話をたくさん聞いた。

 

太極拳は脊椎動物の白鶴や孔雀の動作を取り入れている。太極拳の極意は"脊椎動物に与えられたグルコースを上手に利用し、いかに神経をすばやく働かせて相手の動きをキャッチし、スピーディーに行動するかだ"と直観した。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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