広島の紅葉と医師養成数1.5倍

2009年11月24日

    20091121日から3日間、広島県庄原市に帰省した。

1122日は紅葉を観に三段峡に行った。午後1時、実家を出発し中国縦貫道で小雨が降り始めた。戸河内インターを出て三段峡に行くと、駐車場はガラガラで紅葉はおわっていた。国道191号線を北に進むと、深入山には薄っすらと雪が見えた。標高1223mの臥龍山には紅葉はなく、どんよりとした色をしていた。

 

臥龍山入口を午後235分出発、45分で島根県益田市に着き、国道9号線を浜田市に向かった。左手にJR山陰本線が走り、その向こうに日本海の荒波が打ち寄せてくる。午後45分、浜田おさかなセンターに着いた。いつものように好物の"のどぐろ"を買った。口の中が黒いので"のどぐろ"と呼ばれ、焼いて食べると旨い。

 

午後7時から、庄原市役所前の居酒屋で高校の同級生4人と話をした。今年ネパールに行った同級生は「ネパールには、日本で働きたいという優秀な看護師さんが何人かいる。ネパールは仏教徒で、日本の患者さんにも合うのではないか。国はハードルを低くして、ネパールの看護師さんを迎え入れれば看護師不足対策になる」と言う。

 

地方の医療は医師不足で困っている。民主党のマニフェスト「子育て支援」や「高速道路無料化」は話題になっているが、「医師養成数1.5倍」というマニフェストはどこに行ってしまったのだろうか。

 

テレビでは「最近、事故や自殺に見せかけた他殺が多い。日本には剖検医が不足している」と伝えているが、医師の絶対数を増やすことには触れない。医師必要数の3分の2しかいない日本で、医師の偏在だけを問題にしていたのでは根本的な解決にはならない。

 

国立大学医学部生を育てるには6年間で1人当たり7000万円必要となる。4000人医師を増員するには2800億円が必要となるが、国は財政難で難しそうだ。十分な財政的支援があれば、国立大学も人を雇って医師を育てることができるが、日本の大学の教官は過重勤務のため著しく減少し、1020%定員を増加させるのが精一杯だろう。

 

財源がなくても、医師養成数を1.5倍にすることは不可能な数字ではない。「ハンガリー、チェコ、スロバキアなど東欧諸国では医師養成が盛んで、世界中から医学生が集まってきている。授業料も6年間で1000万円とそれほど高くない。海外の医学部教育を6年して卒業した者に、簡単な手続きで医師国家試験の資格を与えることにすれば、税金を使わなくて済む」と指摘する医師もいる。

 

医師養成数を1.5倍にすることは喫緊の課題だ。国とメディアは医師数養成数1.5倍に関する議論を表に出して、ベストではなくてもベターな方法を模索するといい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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