新型インフルワクチンと肥満・糖尿病

2009年8月25日

    2009822日、友人から「メタボ患者と新型インフル」のメールが来た。

フランス公衆衛生研究所が「肥満者などでは新型インフルエンザにかかると、死亡率が高くなる。WHOの報告をもとに47月に新型インフルで死亡した27カ国574人を分析すると、生前の生活状態がわかる241人のうち90%が持病を持っていた。そのうち肥満や糖尿病などメタボ患者が30%と最も多い」と発表したという。

肥満者では"脂肪細胞から炎症を引き起こす物質が持続的に分泌されるため、免疫反応が下がり、気管を狭くさせるのではないか"という仮説がある。

 

819日後輩の病院勤務医と話をした。「大阪市内で新型インフルエンザが流行しており、夏休み中のクラブ活動など学校閉鎖した所もある。

新型インフルワクチンを医療従事者に優先的に接種するようだが、ワクチンの効果や副作用は、まだわかっていない。医療従事者を使った巨大な実験ではないか。ギランバレー症候群になるのではないか心配だ」と意外なことを言った。医療関係者は新型インフルワクチンが優先的に接種されることを、必ずしも喜んでいない。

 

新型インフルワクチンは100%効果があり、副作用はないと思っている国民がいる。ワクチンにはメリットとデメリットがある。インフルエンザワクチンの効果は4080%で、糖尿病など基礎疾患を持つ人には、メリットの方が大きいだろう。しかし、全てのワクチンには必ず副作用があることを、よく認識しておく必要がある。

 

ギランバレー症候群は末梢神経が障害される病気で、女優の大原麗子が亡くなっている。1976年米国で新型インフルエンザAが流行した時、ワクチン接種でギランバレー症候群が多発している。ワクチン接種100万人当たり410人の発症率がある。新型インフルワクチンで医療従事者から数10人発症する可能性があるが、誰が補償するのだろうか。

 

823日日曜日午後5時、自宅の近くに散歩に出た。休日でも健康のため、1度は外に出て歩くようにしている。鈴原橋から金岡川の左岸を上流に向かって散策した。ゴーと音をたてて青い空を、飛行機が飛んでいく。

ジーンと鳴く蝉の声を聞きながら、横の垣根を見ると、虫食いだらけの葉の上を蟻がはっていた。柳橋の下を水がサラサラと音をたてて流れていく。そのすぐ上流で、昆陽川が左に分かれ、筋違橋(すじかいばし)の手前ではトンボが飛んでいた。来徳橋(らいとくばし)近くの家々の間から見える西陽が眩しい。

相生橋を過ぎると3階建てのアパートがつづく。膝・股関節が丈夫で、歩ける間に歩いておこう。夕方は暑くもなく、涼しい季節になってきた。散歩中は風が吹き心地よかったが、自宅に戻ると室温は28℃とまだ暑く、一度に汗が出てきた。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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