エコポイントと診療科格差社会

2009年8月 6日

    200984日、朝刊1面に「普通車1年ぶりに増加:7月販売エコカー減税効果」と「パナソニック赤字幅縮小:9月中間業務予想」の見出しで自動車・電機の記事が載っていた。

 

「自動車販売が急回復をみせている。自販連が83日発表した7月の新車販売台数は、前年同月比4.2%減の29万台だった。政府のエコカー(環境対応車)減税や買い替え補助の景気対策が浸透し、昨秋から続く自動車市場の落ち込みが底を打った格好だ」

「パナソニックは83日、平成219月中間連結決算の業績予想を上方修正し、・・・79月期の営業損益は2億円の黒字に転換する見通し。政府のエコポイント制度導入の効果が国内の販売を押し上げ、海外での復調傾向が鮮明となった」とある。

 

2009年初め、ある方が「世界的な経済不況で、日本の業界の多くが経済危機に陥っている。しかし、日本の体力からすると、すべての業種を救うことはできない。国は自動車・電機は救うだろうが、KFはどうなるかわからない」と言われた。

84日、銀行OBの友人に「自動車・電機は国の力で回復したようだが、KFはどうなっているか」聞いてみた。友人は「ドイツでは自動車産業に、日本よりもっとお金を出して救っている。F業界は倒産する所は倒産し、一周した。K業界は我慢比べをしている所だろう。国のさじ加減一つで、業界はどうにでもなる」と言う。

 

2009830日の第45回衆議院総選挙に向け、各党はマニフェストを出している。どの政党も医療について、産科・小児科・救急医療に言及しているが、具体的なことは書いてない。

 

厚生労働省は2008年の医科診療所1施設あたり医療費は8996万円と公表している。診療科別では内科9395万円、小児科6908万円、外科8824万円、整形外科1789万円、皮膚科7196万円、産婦人科4771万円、眼科9183万円、耳鼻咽喉科7634万円となっている。

 

小児科は少なく、産婦人科は極端に少ない。医は仁術といわれるが、設備費・人件費を考えると、暮らしていけない産婦人科も出てくるだろう。診療報酬点数(ポイント)は病院と診療所、診療科間の医師偏在の大きな要因となっている。国のさじ加減一つで、診療報酬点数は変わる。

 

日本肥満学会雑誌「肥満研究」編集委員のコンセプトは、編集委員長50歳代・編集委員40歳代とし、学会誌は好評を得ている。

「診療報酬点数を決める委員会も、医療現場をよく知る40歳代の人を委員とし、まとめ役として50歳代の人を委員長にすれば、産科・小児科・救急医療の診療報酬点数をより適切なものにすることができる」と私はアドバイスする。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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