血液型とメタボリックシンドローム

2009年1月20日

    200912324日、第37回日本総合健診学会(田内一民会長)が静岡県コンベンションアーツセンターで開催される。

 

静岡市には公立学校共済組合近畿中央病院での研修医時代、親友だった大石達夫先生がいる。大石君は、育ちの良さと持ち前のサービス精神で、いつも周りに人が集まり人気者だった。1976123日、看護師さん32人の血液型を大石達夫君と前田義章君とで当てあいをした。のんびりした時代だった。

大石君の正解率は34%と一番高かったが、3人の平均正解率は24%しかなかった。一緒に仕事をしていても、性格で血液型を当てるのは難しい。

 

20089月、レストランで20代後半の女性4人が血液型の話をしていた。どうやら病院勤務の看護師さんで3人がA型、1人はB型のようだ。「医者はB型が多い。看護師はA型が多い。福祉・医療の人にはA型の人が多い」などと言っている。本当にそうだろうか。

日本人の血液型の割合はA40%、O30%、B20%、AB10%となっている。医師にはB型が多いかもしれない。大阪大学医学部の学生実習の時、B型は30%いて一般の20%に比べ多く、A型は30%しかおらず少なかった。

32年前に当てあいをした時の看護婦さん32人(3階病棟15人と4階病棟17人)の血液型はA9人、B11人、O型7人、AB5人で、A型は多くなくB型が一番多かった。医療・福祉の人にA型が多いというのは疑わしい。大規模な疫学調査をすれば、すぐに答えはでるだろう。

 

ABO式の血液型とメタボリックシンドロームとの関連は明らかではない。性格のタイプとしてのA型性格、B型性格と虚血性心疾患との関連は指摘されている。競争心の強いA型性格の人は、のんびり屋のB型性格に比べ、心筋梗塞や狭心症が多いとされている。

A型性格は負けず嫌いで競争心が強く、短気で絶えず時間に追われている。何か行動していないとイライラし、野心的でトップを目指している。周囲から認められたいという欲求が強く、仕事熱心で、遊ぶことに罪悪感を持っている。

A型性格の人が心筋梗塞にならないためには、逆のことをすればよい。食事のスピードをゆっくりし、食べ過ぎないようにする。病気の時は無理をせず十分休み、賭け事はやらず、休日は勝ち負けにこだわらないスポーツをする。ストレスをためず、いらいらして怒らない。出世を望まず、健康志向であればよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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