アンチエイジングとメタボリックシンドローム

2008年11月24日

   20081120日、大阪市北区にあるクラブ関西で「メタボリックシンドロームのすべて」の講演をした。クラブ関西は堂島川沿いの北新地内にあり、大阪まちなみ賞の特別賞を受けている荘厳な建物だった。

 

出席されていた橋本浩明(こうめい)理学博士から、「どうして人類だけが太るの?(日経ヘルス2004年)」と「若返りの秘訣は腹七分(日経BP出版2002年)」をいただいた。「健康長寿のため、厚労省がメタボリックシンドロームを重点的に取り上げたことは喜ばしいことだ」と言われる。

早速、2冊の本を読んだ。過食は老化を早めると書いてある。腹七分の餌でネズミを飼育すると、ネズミの寿命は30%長くなることが数十年前の研究で明らかにされている。米国立老化研究所のロス博士らは人間に最も近い猿を使い、食事量を30%減らし長期間飼育すると、猿の寿命は明らかに延びた(Science 2002)と報告しているとある。

 

最近、久留米大学の小田辺修一先生らは、アディポネクチン高発現トランスジェニックマウスを使って研究をされている(Am J Physiol 2007)。アディポネクチンは脂肪組織から分泌される物質で、抗動脈硬化作用・抗糖尿病作用があり、メタボリックシンドロームのキーエンザイムと考えられている。

血中アディポネクチンが200μg/dl以上と高濃度となったマウスの寿命は、普通のマウスの寿命の2030%延長した。高エネルギー食で飼育したマウスの寿命は短くなったが、アディポネクチン高発現マウスでは短命化が抑制されたと報告されている。

 

1123日、伊丹昆陽池公園に行った。昆陽池には野鳥が50羽泳ぎ、中央にある日本列島の形をした野鳥の島の白い木には、黒いカラスが100羽留まっていた。池の周囲にはところどころ褐色に紅葉した木が見える。「ふるさとの小径」にはアキニレ、ニセアカシア、粗樫(アラカシ)などの木々が鬱蒼と繁っていた。

公園正面入り口の向かい側にある墓地に、近所の人の墓参りに行った。働き盛りで子供達を残し、事故で亡くなられた。白、黄色、うす紫の菊の花が飾ってあった。この墓を参るのは3度目だが、いつも新しい花が飾ってあり、残された遺族の思いが伝わってくる。

 

エネルギーを制限し肥満にならないことは、老いを遅らせ寿命を延ばす可能性があるが、人間が死亡する確率は100%だ。生きて元気なうちに、自由自在の境地を味わっておきたいものだ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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