キレる脳・うつ病とメタボリックシンドローム

2008年7月23日

    200871921日、娘を連れて中国縦貫道で4時間かけ、広島県庄原市へ墓参りに行った。

 

「かんぽの郷庄原」の近くにある「ゆめさくら」の朝市で、グラジオラスの花を買った。クリームチーズを橙色で染めたようなオレンジ色の花が、独特の色をしていてきれいだ。グラジ(剣)オラスは名の通り、花が剣のようになっていた。オレンジ色と白と赤のグラジオラスの花を墓に飾った。

雑草は強い。5月の連休に墓の周りの雑草200本全て刈ったが、新たに40本生えていた。石屋をしている中学時代の同級生が作ってくれた墓のすぐ裏に、新しい庄原市役所が建築中だ。もうすぐ墓の周囲の景色も変わるだろう。

 

テレビでは仲のよかった父親を、中学生の娘が刺殺したと放送している。最近、キレるニュースが多い。生活は豊かになったが、うつ病など心の病は増えている。キレる脳もうつ病もメタボも、生活習慣の乱れと関連しているのかもしれない。

 

日本医師会雑誌の20087月号に、有田秀穂東邦大学統合生理学教授の「キレる脳」が載っている。キレる現象に最も関連のあるのは前頭前野の腹外側部で、衝動的攻撃行動を抑えている。その衝動的攻撃行動が他人でなく、自分に向けられると自殺となる。 

 

キレる脳の解析は進んでいないが、自殺した人の脳の解剖は多数報告されている。セロトニン投射先の前頭前野のセロトニン伝達障害が指摘されている。最近、視床下部のストレス中枢から、セロトニン神経を直接抑える神経回路があることが明らかとなっている。

私が米国留学中研究していた視床下部の腹内側核(VMH)を電気破壊してできた肥満ラットは、一日中食べつづけ、食事・運動の日内リズムがなくなっていた。VMH破壊ラットは指を出すと噛んでくるキレるラットだった。視床下部は何らかの形で、キレる脳と関連があるのではないかと思っていた。

 

セロトニン神経はリズムのある運動や、太陽の光で活性化されるという。キレる脳、うつ病が増えたのはテレビやパソコンの前に座り、一日中家にいて外に出なくなったことと関連しているかもしれない。

ウォーキング、ジョギング、座禅やヨガの呼吸法、フラダンスの体幹リズム運動、チューインガムを噛むこと、などはセロトニン神経を活性化させるという。セロトニン欠乏脳を防ぐには太陽に当たり、リズム運動をする習慣を持つことがよさそうだ。

 

キレる脳、うつ病、メタボリックシンドロームの予防には正しい生活習慣が必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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