肥満児対策とコンビニ・スーパー

2008年6月 7日

    200866日の夕刊に「お菓子遠ざけ作戦成功」「仏の肥満児増加ストップ」の記事が出た。

 

フランスの国立機関、健康監督研究所が肥満児の増加に歯止めがかかったと発表した。200018.1%あった肥満児の頻度が15.8%に低下している。ヨーロッパで肥満児増加が止まったのは、フランスが最初だ。

フランスの肥満児対策は単純明快で、甘いお菓子を子供達から遠ざけるというただ一点だった。フランスは30年間で子供の肥満が大人の肥満より速いペースで増えていた。

 

2001年よりフランス政府は肥満防止対策に乗り出し、2005年に学校内の菓子類自動販売機設置を禁止している。

フランス保健・スポーツ大臣は、子供番組での高カロリー食品のテレビコマーシャルを控えるよう、スーパーのレジ付近に甘い菓子を置かないよう提唱した。スーパーは減収を覚悟の上、これに応じてレジの周辺に甘い菓子類を置かないようにしている。

 

2006325日名古屋国際会議場で開催された第70回日本循環器学会で「メタボリックシンドローム」のシンポジウムがあった。満員となった3000人の会場で、私は「肥満児が増加している。子供の食生活が乱れている。小中学生の頃から摂取エネルギー・消費エネルギーを教えるなど教育が必要だ」とフロアから発言した。

 

演者の千葉大学内科齋藤康教授(現千葉大学学長)は「先生のおっしゃる通りです。メタボリックシンドローム対策には、小児期からの食生活が重要です。これからもあらゆる機会に、子供の食育の重要性を説いていきたいと思います」と答えられた。

 

200685日、神戸商工会議所で開催された第6回糖尿病教育資源共有機構学術集会で「メタボリックシンドローム」のワークショップがあった。

私はフロアから「過食、運動不足により肥満・メタボリックシンドロームが増加している。ファミリーレストランに低カロリーメニューをおく、コンビニのレジの近くに高カロリー食品を置かない、など社会全体が取り組むことが必要だ」と発言した。

 

演者の方が、首をかしげられながら「食べるのは個人の問題でしょう。メタボリックシンドロームは自己責任です。社会がどうこう関わる問題ではないと思います」と答えられた。

 

私は肥満児対策として、食事療法・運動療法など個人の問題も重要だが、コンビニ・スーパー・テレビなど社会も協力して行くことが必要だと思う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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