流れる雲とメタボリックシンドローム

2008年4月12日

   2008328日、昼食後JR京都線沿いを歩く。M電器構内の桜は、木の上の方は蕾だが、下半分が満開になった。桜の木が揺れる度に、鶯色のすずめより少し大きな鳥が飛んで行く。10羽以上いる鳥は冬の間、どこで過ごしていたのだろう。この景色もあとわずかだと思うと寂しくなる。 

高槻健管センター「受け渡しの日」で、センター長室も主(あるじ)が変わった。塗装の臭いを出すため、窓を開けて医師控室から外の雲を眺める。雲はゆっくりと、ゆっくりと東の空に動いていく。雲の形も少しずつ変化していく。20分以上も雲を眺め続けたのは、高校以来40年ぶりだ。

 

ゆったりした時間が流れていく。「梅田地下街の賑々しい時間に比べ、ブータンの時間はゆったりと流れていく。同じ地球に住んでいるのに、住む場所によって時間の経つ速さが違っている」と9日前会った高校時代の同級生が言っていたのを思い出す

 

M電器構内の桜は3285分咲きだったが、31日には満開となった。丁度3年前の4月、高槻に赴任した頃も桜が満開だった。

 

高槻健管センターのホームページはいつ閉鎖になるかもしれない。メタボリック教室を止めようかどうか迷った。同級生は「生活習慣改善の活動もつづけた方がいいのではないか。アップトゥデイトなものを基本に、故事も入れたらいい」と励ましてくれた。

 

心優しい後輩は「第12段"言いたいことは言えばいい"と瞑想して会議に出ています。私達への人生の応援歌として残して欲しい」、別の後輩は「南カリフォルニア大同窓会をテーマにした第8995段のような幅広い視野に立ったものを書いて欲しい」と言ってくれた。

 

本当のところは、自分の考えていることを表す場を残しておきたかった。書いて人に伝えると、見たり聞いたりした情報を意識して取り入れ、まとめることによって記憶に残る。書くことによってストレスが解消する。

 

幸いインターネットに詳しい知人が「お手伝いします」と言ってくれたので、新しいホームページのデザインから移転まで、全面的にお世話になった。この知人はメタボリック教室をファイルにして「所どころに共感を呼ぶ文章がある」と下線を引いておられ、「第59段を読むと、東京のYホテルに泊まりたくなる」と言われていた。

 

流れる雲のようにゆったりとした気持ちで、メタボリック教室をつづけようと思う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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