サンセットビーチと医療立国日本

2008年3月19日
 2008年3月7日ボルネオ島到着日、シャングリラホテル内のイタリア料理店に行った。

 白人の老夫婦が5組いた。イギリス、オーストラリアからの客が多いという。ビーフ、ロブスターぐらいしかメニューが読めない。開業している友人は「老後は南の島で暮らしたい」と言っていたが、英語が堪能でないと住みにくそうだ。

 ホテルの朝食にはピータンなどの中国料理や、キムチなどの韓国料理はあったが日本食がない。ボルネオでは日本の陰は薄い。ボルネオへの航空便は、韓国からは毎日あるが、日本からは週2便しかなく、日本人の観光客は少ないという。

 ボルネオ4日間で、NHK以外のテレビに日本人が出ているのを見たのは1度だけだった。3月9日TV8で「鹿男あをによし」主演俳優の玉木宏、兵庫県加古川市出身の上野樹里、ダルビッシュ有投手夫人サエコが出演していた。「のだめカンタービレ」をマレー語と中国語の字幕付きで放送している。海外で日本語を聞くのは嬉しい。

 3月9日午後6時、ホテルビーチの先端にあるサンセットバーに行った。パイナップルがグラスにはさんであるグリーン色のトロピカルカクテルを飲みながら、南シナ海に沈んでいく夕陽を眺めた。生ぬるい風が吹き、潮風で体がベタベタする。しばし、人生の余韻を楽しむ。

 医療は世界的には成長産業だ。日本は自動車、電気、器械の3大納税産業に頼っているが、中国・韓国などの追い上げで陰りが見えてきた。日本人は手先が器用だ。私が留学していた南カリフォルニア大学ブレイ教授は、視床下部満腹中枢の破壊実験は歴代日本からの留学生にさせていた。

 2002年の WHO統計では日本の平均寿命は81.9歳、健康寿命は75.0歳で、ともに世界一となっている。2005年の経済開発協力機構(OECD)統計では、日本の医療費は7.9%とOECD平均8.6%に比べて低い。これは医師の技術や過重労働によるところが大きい。

 私の後輩はアラブ諸国に招かれて、心臓カテーテル治療にアラブに行った。知り合いの医師も中国から心臓カテーテル治療に招かれ、熱烈歓迎をされたという。日本人医師の技術レベルは高い。

 午後6時25分、橙色をした大きな夕陽は南シナ海の水平線の下に姿を隠した。

 「日本人医師は海外で評価されている。エネルギー・食料資源の少ない日本は、日本人が資源だ。手先の器用な日本人医師を増やし、医療立国とするのもよいのではないか」とサンセットビーチで思いめぐらした。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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