ゆとり教育とメタボリックシンドローム

2008年2月29日
 2008年2月23日土曜日、滋賀県長浜市慶雲館で開催されている第57回長浜盆梅展に行った。

 長浜の盆梅は約300鉢あり、盆梅を見ることができるのは1年でわずか2カ月間のみだ。重さ700~800kgある盆梅は15人がかりで運ぶという。

 行きの草津サービスエリアでは第2名神高速道路開通記念イベントが行われ、和太鼓が演奏されていたが、子供達の遊ぶ姿は見られない。

 長浜の駐車場では中年男性が雪かきをしていた。200人近くいる盆梅展会場では5歳以下の子供が3人いたが、小・中学生は一人もいない。帰りの大津サービスエリアでも100人中幼児が1人で、小・中学生はいない。子供たちは一体どこに行ったのだろう。

 ゆとり教育で学校5日制になったが、学力低下など弊害も出て文部科学省や教育現場で見直しがされている。ゆとり教育とは「学習者が詰め込みによる焦燥感を感じないよう、学習者の多様な能力を伸張させることを目指す教育理念のこと」である。

 学校5日制は子供の生活習慣にも影響を与え、休日は平日に比べ食生活、運動ともに乱れていることが報告されている。神戸女子短期大学の糸井亜弥らは、小学4~6年生を対象に「児童における肥満と活動量・食事」について検討している(肥満研究13:51,2007)。

 加速度装置付き歩数計で計測した休日の歩数は平日の歩数の約6割しかない。休日の総消費熱量は平日に比べ10%、運動消費熱量は50%下回っている。

 食生活においても平日と休日では異なっており、休日は平日に比べタンパク質、カルシウム、ビタミンA、B1、B2の摂取が少なく、脂肪と食塩の摂取が多くなっている。休日では乳類・豆類・野菜類の摂取が減少し、肉類・菓子類・油脂類の摂取が多い。

 「休日は体を動かさないため食欲もわかず、間食エネルギーが増加している。好物や簡単にできる食品を摂って済ませるという偏食傾向がある」と考察している。

 テレビを見る時間も休日は平日に比べて37分多く、テレビゲームをする時間も14分長い。平日90.6%の児童が外遊びをしているのに対し、休日は30.2%と著しく少なくなっている。

 ゆとり教育も最初に考えた人の理念はよかったのだろうが、休日の生活習慣には弊害が出ており、メタボリックシンドロームにはよくない。休日は家に閉じこもらず、外に出て自然と親しむ時間を持って欲しい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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