週休2日制とニート・メタボリックシンドローム

2008年2月21日
 2008年2月14日、尼崎ホテルニューアルカイックで第9回阪神生活習慣病研究会が開催され、開会の挨拶をした。

 神戸大学循環器内科の志手(して)淳也講師が特別講演「糖尿病と虚血性心疾患、長期予後改善の治療」をされた。

 立食パーティで志手先生に「休日の過ごし方がメタボリックシンドロームと関連し、週休2日制が日本人の歩行数を減少させた一因だ」と話すと、「土曜日は3時間六甲山を歩き、日曜日はスイミングをしている」と言われた。道理でスリムな顔と体をされている。

 1997年の国民栄養調査で男性の歩数は8202歩、女性の歩数は7282歩だった。「健康ニッポン21」では2010年の目標値として男性9200歩、女性8300歩を掲げていた。しかし、逆に2003年の男性の歩数は7575歩、女性は6821歩と減少していた。

 歩数の減少のみならず、糖尿病や男性の肥満が増加してしたことより、健診だけでは効果はなく、事後指導が必要であるという認識から特定健診・保健指導が施行される。

 歩数が減少した要因の一つとして、1990年代中頃から定着した週休2日制が指摘されている。会社員を対象とした1日の歩数の検討によると、休日の歩数は平日に比べ3000歩少なくなっていた。

 最近、3メッツ未満の身体活動がメタボリックシンドロームの予防によいことが明らかとなっている。メタボリック教室第75段に示したようにニート(NEAT)と呼ばれている。

 立ったまま家事をする、社内でFAXやコピーを自分でするなどこまめに動く、電車の中で座らずに立つなどするとよい。

  3メッツの運動を1時間やれば3エクササイズになる。健康な人では週23エクササイズ、うち運動を4エクササイズ、メタボリックシンドロームでは週23エクササイズ、うち運動10エクササイズ以上行うことが推奨されている。3メッツの運動には軽い筋力トレーニング20分、バレーボール20分などがあり、生活活動には歩行20分がある。

 腹囲が85cm以上の男性社員では85cm未満の男性社員に比べ、ニート(3メッツ未満の活動量)が60分少ないことが報告されている。平日と休日における身体活動量を比較すると、平日の消費エネルギーが休日に比べ有意に多くなっている。

 週休2日制となり、ゆとりのある生活になったが、一方で歩数と消費エネルギーの減少を生み、メタボリックシンドロームの増加につながっている。緑の濃い所で自然に触れるなど、週休2日制をうまく利用するよう心がけるとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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