乳がんとメタボリックシンドローム

2008年1月30日
 2008年1月16日、芥川賞は川上未映子さんの「乳(ちち)と卵(らん)」が、直木賞は桜庭一樹さんの「私の男」が選出された。2人とも女性だ。30~60歳の女性のがんで、圧倒的に多いのは乳がんだ。

 乳がんとメタボリックシンドロームの関連が指摘されている。肥満女性では乳がんの発症率は1.53倍となっている。以前NHKテレビが乳がんの特集番組で「内臓脂肪と乳がん」との関連についてテレビ撮影に来たことがある。

 撮影時「内臓脂肪が蓄積すると、性ホルモン結合蛋白(Sex Hormone Binding Globulin: SHBG)が低下する。性ホルモン結合蛋白が低下すると活性型女性ホルモンが増加する。活性型女性ホルモンが増加すると乳腺細胞を過剰刺激し、乳がん発生率が高まる」と話した。

 欧米における乳がんは1990年頃から減少しているのに対し、日本での乳がんは2000年から急速に増加している。脂肪の多い欧米型食生活が関連しているのかもしれない。

 70歳以上では、胃がん、結腸がん、肺がんなどが乳がんに比べ多いが、40~60歳では乳がんが4~5倍多くなっている。中年女性では、がんの半数近くを乳がんが占めている。

 乳がん検診では、2000年からマンモグラフィーが導入されている。40歳以上の乳がんの検診ではマンモグラフィーによる乳がんの発見率は1000人当たり2.5人で、超音波検査による発見率の1.0人に比べ高い。

 1978年11月2日、大阪市北区堂島にあった大阪大学医学部付属病院A講堂で、1970年の直木賞作家である渡辺淳一の講演会があった。

 「編集者は作家の埋蔵量と空想量がどれぐらいあるか見抜く力が必要である。学生作家のような若い人は埋蔵量が少なく、行き詰まることがある。蓄電のために、編集者はうまく補給してあげなければならない」と話された。

 「尊敬する作家は誰ですか?」との質問に、「谷崎潤一郎だ」と答えられた。その後執筆された渡辺淳一作品「失楽園」や「愛の流刑地」は、谷崎潤一郎の「鍵」などの影響を受けているのかもしれない。

 1月24日昼、高槻に雪が降った。高槻で雪が降る中を歩くのは初めてだった。魚も鳥も動物は全くいない。見えるのは傘をさすか、フード付きのコートを着ている人間だけだ。うすくて小さい「ひとひらの雪」が舞い始めた。頭に手をやると髪がびっしょり濡れていた。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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