米国大統領選と医師不足

2008年1月11日
 2008年1月9日の米国大統領のニューハンプシャー州民主党予備選で、ヒラリー・クリントン候補がオバマ候補を39%対37%で破り、1勝1敗となった。

 2008年1月10日の朝刊に、「クリントン上院議員が仮に大統領になると、相当数の日本人医師が米国に流出する」との記事が載った。クリントンの主張通り米国が皆保険制度を導入すると、新たに4000万人の患者が発生し、米国で大きな医師不足が生じる。若い優秀な日本人医師は、米国の医師不足を補いに行く可能性がある。

 2007年12月20日広島市での「最新内臓脂肪の科学」の講演の後、午後から「認知療法でストレス対処」を講演される小林展子(のぶこ)先生とお茶を飲みながら、40分間お話をした。小林先生はポンティキュラス心理研究所の所長をされており、メンタルヘルスの専門家で。米国のミシガン、ニューヨーク、オハイオとカナダのオタワで、20年間海外生活をされたという。

 小林先生は「日本では上下関係で悩む人が多い、米国は人間関係に気を遣わなくてすむ。日本では会社で上司が残っていると帰りにくく、休暇も取りにくい。米国では時間になると、さっさと帰宅しバカンスも取るが、仕事はちゃんとやり、帳尻をあわせている。
 京都大学の山中伸弥教授が万能細胞(iPS細胞)を生成する技術を2007年11月21日発表されたが、日本の対応は遅い。米国ではすぐに巨額の研究費を出すことを決めた。米国生活を経験すると、日本に戻りたくなくなる研究者も多い」と言われた。

 12月20日広島市から各駅停車に乗っての帰路、山陽本線JR西条駅に途中下車をして、酒造巡りをした。加茂鶴酒造では、米粒の大きな山田錦を使っているという。米の表面は脂質・タンパク質で、中心部に美味しいでんぷんがあり、表面から削っていくので大きな米粒ほどいいお酒ができるという。

 山田錦の稲は米粒が大きく背も高い。実ると他の稲に比べ頭を垂れ低くなるので、田の高さを見るとすぐにわかるそうだ。「実るほど頭(こうべ)を垂るる稲穂かな」。謙虚な気持ちでいると、嫉妬や羨望の害から免れることができる。

 米国大統領選の結果によっては日本人医師が米国医師不足応援のため条件のいい米国に流出し、日本の医師不足はさらに深刻化する可能性がある。

 イチロー・松井秀樹・松坂大輔が米国で活躍しているように、手先の器用な日本人若手臨床医が名医となって、米国大統領の心臓カテーテル治療を行う時代が来るかもしれない。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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