宝塚歌劇とメタボリックシンドローム

2008年1月 7日
 2008年1月2日宝塚歌劇場へ行き、11時から雪組公演「君を愛してる」を1列44番で観劇した。

 宝塚歌劇場に入るのは30数年ぶりだ。売店や場内はすっかり変わっている。パリを舞台に上流階級の青年と、サーカスの花形スターのラブ・ロマンスがくり広げられる。ジョルジュを水(みず)夏希、マルキーズを白羽ゆりが演じた。

 歌劇団員にメタボ体型の人が1人もいない。一般女性に比べて、ウエスト/ヒップ比が明らかに低い。肥満者が全くいない集団は珍しい。

 「劇団員の生活習慣(食生活、運動)と同じ生活をすれば、女性の肥満は激減するのでは?」と聞くと、「宝塚のような厳しいレッスンは、普通の女の人にはできないわよ」と妻に一蹴されてしまった。

 「みんな歯が白くて、歯並びがいい」と母は言う。ポーセレン(陶器)を入れている人もいるのかもしれないが、虫歯が見える人は1人もいない。いい歯はメタボ体型にならないことと関連しているのかもしれない。

 大きな障害を乗り越えて成就する宝塚歌劇の恋愛ストーリーを観ていると、若い頃にタイムスリップする。
「赤と黒」のジュリアンとマチルドの恋のような回りくどい、計算高い恋は私には似合わない。
 近松門左衛門の「博多小女郎波枕」の女のためなら海賊でもやるという小町屋惣七の恋。
 谷崎潤一郎の「春琴抄」の温井佐助のひたむきな恋。
 デュマ・フィスの「椿姫」のアンマンの恋。
 ぶつかっても、ぶつかってもしゃにむに突っ込む体当たりの恋がしてみたい、と思っていたが、平凡な見合い結婚をしてしまった。

 独身時代、同級生の友人が宝塚娘役のトップスターだったので、同級生と楽屋の入り口でチケットを渡してもらい観劇していた。当時、男役トップスターに花束を届けに通っている芸能人がいた。その芸能人はどん底の時期で、再び浮き上がることはないだろうと私は思っていたが、今では紅白歌合戦の常連になっておられる。

 好調の時も有頂天にならず、どん底の時もやけにならず、「人生は栄枯盛衰、抜け殻の時もあれば、充実した時も来る」ことを心得ていれば、道を踏み誤ることはないであろう。

 ダイエットも一度失敗したからといって、決して諦めてはいけない。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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