装着ロボットと高齢化社会

2007年11月12日
 2007年10月26日ヒルトン東京での南カリフォルニア大学(USC)同窓会のカンファレンスで、筑波大学システム情報工学研究科の山海嘉之(さんかい・よしゆき)教授による「支援ロボット」の講演があった。

 世界初のロボットスーツ「HAL」について話された。「HAL」は体に装着して動作を支援し、障害者が立ったり座ったり歩いたりする動作をアシストするという。マイコンが搭載され、脳から発せられた生体電位をキャッチし、身体機能を増幅する。

 「支援ロボットを腕に装着すると、8kgの物でも箸のように簡単に持ち上げることができる」と言われる。メタボリックシンドロームなどから脳梗塞になった人は、四肢が全く動かない人は少ない。装着ロボットは、脳梗塞などで四肢の筋力が低下した人にとって朗報だ。

 USC教授が将来の高齢化率を色分けしたスライドを出された。高齢化率の高い国を赤で示すと、高齢化率の高い国とそうでない国がはっきりわかる。日本、中国、ロシア、ヨーロッパ諸国は真っ赤に染まっており高齢化が著しく、インド、アフリカ、南北アメリカはそれほどでもない。米国は移民などが多いためだろう。

 2006年の世界の人口は65億人で、アジア40億人、アフリカ9億人、ヨーロッパ7億人、中南米6億人、北米3億人、オセアニア0.3億人となっている。2100年には世界の人口は100億人を超えるのではないかと言われる。人口増加でエネルギー資源は、地球環境はどうなるのだろうか。

 日本では少子高齢化社会と少子が付くが、国際的には高齢化社会のみで少子が付いていない。少子化については賛否両論がある。「少子化になると労働力が減少し、国力が落ちる」「地球上の人口が増えると、飢餓になる人が増え、地球上の資源がなくなる」などの意見がある。

 高齢化社会問題は少子化問題と異なり、世界共通の問題だ。現在の世界は高齢化社会に対しては、一致団結して対策をとるだろう。装着ロボットのような高齢化社会に役立つ物を創り出すと、世界中の人から喜ばれる。海外と協力でき、マーケットも全世界と大きい。

 21世紀の医療は高度医療となる。技術が進歩すれば一般にコスト削減となるが、医療の世界は逆で、総医療費は上がる。装着ロボットは量産されてどれだけ安価になるのだろうか。自費購入になるのか、医療保険の適応になるのか、それとも別の保険制度を導入するのか、今後の課題だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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