健診保健指導市場とメタボリックシンドローム

2007年7月 6日
 2007年7月1日、日本政策投資銀行は、2008年4月から特定健診・保健指導の実施に伴い、最大で年間2800億円超の医療市場が生まれると発表した。「経営難の医療機関にとって収益改善の機会になる」とみて、政投銀は病院などへの支援を強化していく方針だ。

 政投銀によると健診費用は単価5000~9000円で年間800~1400億円、保健指導料については「動機づけ支援」で7000~12000円、積極的支援で3~6万と推定し、総額で年間730~1411億円になると予想している。健診費用と保健指導費用をあわせると2800億円の市場が誕生する。

 これまでの健診とこれからの健診・保健指導の財布(お金の出所)は、市町村や企業の健康保険組合と一緒なので、2800億円収入が増加する所と逆に2800億円収入が減少する所が出る。ある全国規模の病院グループの健診収入は8%(5~20%)で、1年半前から2008年4月からの健診・保健指導に向け、着々と準備している。

 自治体病院の友人は「目の前の患者さんを診察するのが精一杯で、健診・保健指導に全く取りかかっていない。カルテの電子化も自治体病院が最も遅れている。事務長が3年毎に交代し、先送りにするからだ」と言う。

 自治体病院は3年毎に経営者が変わる市町村の商店のようなものだ。全国レベルの組織を作って、健診・保健指導や電子カルテ対策をしたらどうだろうか。大都市自治体病院の院長が「民間病院でも高度医療ができるようになった。自治体病院の役割は終わったのかもしれない」と言われていた。自治体病院はますます厳しくなりそうだ。

 私は週に1度は濃い緑か花があるところに行くよう心がけている。2007年7月1日、兵庫県三田市にある関西花の寺二十五カ所霊場第11番、曹洞宗永澤寺(ようたくじ)に行った。「花は小さな仏さま」と書いてある。永澤寺の前にある「永沢寺(えいたくじ)花しょうぶ園」は紫、青、桃色、薄紫、薄青、薄桃色、黄色、白と色とりどりの花菖蒲が一面に咲いていた。花菖蒲は650種、300万本あるという。

 自治体病院の医師は不眠不休で四季を感じることがないのではないか。週に1度ぐらいは仕事から離れ、自然に触れる余裕を持たないと、心が痩せ細り世の中から取り残されてしまうかもしれない。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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