自治体病院とメタボリックシンドローム

2007年5月18日

 2008年4月からメタボリックシンドロームの概念を導入した保健指導が始まる。保健師、管理栄養士、健康運動指導士がいる自治体病院は食事・運動指導など中心的役割を果たすことができる。

 しかし、自治体病院は今、危機的状況にある。ある自治体病院では50歳代男性職員3名が病死した。過労による影響もあるだろう。自治体の財政悪化のしわ寄せは、手厚い保護のない職員、責任感の強い人達に集中している。

 自治体病院に苦悩していた友人が交通事故で急逝した。以下、彼の書いた文章の一部を引用し、冥福を祈る。

 『自治体病院は生き残れるか。自治体の財政事情は予断を許さないものらしい。高額の予算を必要とする自治体病院はいつまで存続できるのか。ある日突然病院の独立採算への移行が現実となるかも知れない。この不況が続くなか、民間企業では赤字となればリストラ、減給、首切りが必然となる。ところが、当たり前と言えばそれまでであるが、国または地方公共団体に働くものは手厚い保護のなかにあるといえる。
 病院の健全な経営、よりよい医療ニーズに対応することを阻害する要因に、技術職に転勤がない、資格と勤続年数により給料が一律に決定されることがある。公的病院における赤字は当たり前で、税金をつぎ込めばよい。新しい医療の時代についていけず、固定された狭い職場に安住する技術職が蔓延る。給料が同じならば何故によけいな仕事を背負い込む必要があろうか。有能であり且ついくら働いて実績を積み重ねようが、逆に無能であり且つ実績をほとんど示さなくても、所詮給料に変わりはない。個々の職員が何をどれだけ職務すればよいか、それが自らの給料に見合う収益(生産性)を上げているかなどは全く意識しない。
 自治体病院はこのままでは生き残れない。変化を受け入れなければならない。』

 彼は学生時代、サントリーレッドを机の上に置き勉強していた酒豪だった。昭和45年11月25日、「三島由紀夫が自衛隊に立て籠もっている」いつもは無口な彼が、大きな目をさらに大きくして饒舌に話をした。

 彼は武士の精神で生きていたのだろう。鋼(はがね)は強いが、折れるもろさもある。「医療の場で質の高い診療を提供するのが第一の使命」と彼は考えていた。彼の理想は必ずしも職場では受け入れられなかった。

 彼の主張は全て正しいとは言えないかもしれない。しかし、共感するところも多いはずだ。残された者達は彼の言葉を重く受け止めなければならないと私は思う。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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