オリンピックとメタボリックシンドローム

2007年4月18日

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策には運動が必要だ。東京オリンピックを掲げる石原慎太郎東京都知事が再選された。

 オリンピックを観戦するだけでは、国民は健康にはならない。開催に当たっては、メタボリックシンドローム予防運動法を新しく開発するなど、国民の健康に結びつくことも考慮されることを願う。

 2007年4月14日(土)から中国の青島(チンタオ)に11度目の訪中をした。青島がある山東省は孔子の出身地だ。

 「上を向いて歩こう」を作曲した中村八大は小学時代を青島で過ごしたという。作詞した永六輔は長年、広島県庄原市総領町で「過疎を逆手にとる会」の会長をしていた。

 青島は北京オリンピックのヨット会場となっており、街中建設ラッシュで、道路は至る所掘り起こされている。電光掲示板ではカウントダウンが始まっている。青島の人は北京オリンピックで街が発展すると喜んでいる。

 中国では都市部を中心に肥満が増加し始めている。街を歩く人の中にも小太りの人が見受けられるようになった。

 ホテルの部屋に配られた2007年4月14日の中國日報の一面には「中国の温家宝首相がRITSUMEIと書いてあるユニフォームを着て、右手にはめたグローブにボールが入ろうとしている瞬間を撮ったカラー写真」が載っている。

 その横に肥満の記事が載っている。木曜日に出た雑誌Scienceの肥満に関する遺伝子の記事の後、肥満は世界的な問題で糖尿病、心臓病、脳卒中、高血圧、ある種の癌の大きな危険因子であると書いてある。中国でも肥満は1面に載るほど注目されている。

 中国骨董品の倉庫と言われる青島市博物館を訪ねた。正面を入ると1つの石から作られた高さ6メートル、重さ30トンの仏像(国宝)が男女2体ある。博物館の人の話では、掌を前にして上に挙げている右手は「何ものも恐れない」を、掌を前にして下げている左手は「希望」を表しているという。

 大阪がオリンピックを誘致できなかった敗因の1つは「人脈があり、時間的・金銭的に余裕があり、オリンピック誘致に熱意のある老夫婦がいなかった」ことだ。

 直接会って話をしないと人の心は動かない。開催地は天ではなく人が決める。石原都知事が本気でオリンピックを誘致しようと思うのなら「人脈、時間、財力、熱意の4つを兼ね備え、世界中を駆けめぐることのできる老夫婦を捜せ」と私はアドバイスする。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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