高血圧・メタボリックシンドロームとストレス

2006年12月19日
 平成18年10月福岡で行われた国際高血圧学会で、腹囲が1cm以上増加すると高血圧発症のリスクが2.49倍になると、端野・壮瞥町研究をしている札幌医大2内から発表された。高血圧は国内に約3500万人おり、高血圧の原因として以前は塩分の摂り過ぎが主因と言われていたが現在は高血圧の主因は太りすぎとされている。

 高血圧は糖尿病、高脂血症と並ぶメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の選択項目の1つで脳卒中、心筋梗塞の重要な危険因子である。ストレスがあると太りやすくなり、高血圧にもなりやすくなる。ストレスが加わると胃を壊して食がすすまない人もいるが、逆によく食べて太る人も多い。ラットのシッポに洗濯バサミを挟んでストレスを与えると、よく食べて太ることが分かっている。

 ストレスで内臓脂肪が蓄積するメカニズムについて、国際肥満学会の最高の栄誉であるヴィレンドルフ賞を受賞したスウェーデンの故ビヨーントルプ教授が唱えた説がある。ストレスで脳の視床下部が刺激されると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、副腎皮質ホルモンのレセプターの多い内臓脂肪が蓄積されるとするものだ。

 生きていく上で、特に働き盛りの中高年男性では仕事上、必ず交感神経を緊張させて戦わなくてはならない時がある。その後いかに早く心を落ち着かせてストレスを解消し、内臓脂肪を増やさず血圧を下げるようにするかが大切だ。

 それでは、どうすればストレスを解消することができるであろうか。1つの方法として禅を組むことが有用である。座禅は膝に障害のある人はできないなどの問題がある。立禅は立ったまま、いつでも、どこでもする事ができる。両足を肩幅にし背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、肩や腕の力は抜き両手を大腿の横に自然に下ろす。あごを少し引き、眼は半眼で正面を向き、腹式呼吸を行う。鼻から息を吸いながらお腹をふくらませ、ゆっくりと息を吐く。吐く時間を吸う時間の3倍以上にする。そうすると迷走神経が刺激され、脈も遅くなり自然と心も穏やかになる。

 それでも心穏やかにならない人は奈良の平城宮跡の北西にある秋篠寺に行くとよい。悠仁さまが誕生された秋篠宮家の名もこの寺に由来する。深秋から冬の秋篠寺は街中にもかかわらず森のような濃い緑につつまれ、苔がむしている。ストレスがたまって仕方がない時は秋篠寺で、立禅をして静かに深い呼吸をするとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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