肥満症治療ガイドライン2006のワンポイントアドバイス

2006年11月 8日

 平成が18年10月27日神戸で開催された第27回日本肥満学会で、我が国で増加している肥満症やメタボリックシンドロームはまぎれもなく過食と運動不足の生活習慣が主因であり、予防対策が重要であるという「神戸宣言2006」が採択され、体重をまず3kg、腹囲を3cm減少させるという「サンサン運動」が提案された。

 日本肥満学会から、新しい肥満症治療の指針「肥満症治療ガイドライン2006」が出版され、肥満症の食事療法は1800~1000kcal/日の肥満症治療食と、600kcal以下の超低エネルギー食(Very Low Calorie Diet: VLCD)に分類している。

 このガイドラインの大きな特徴は、減食療法や低エネルギー食と呼ばれていたものを肥満症治療食と名称を統一し、1800~1000kcal/日で200 kcal刻みの5段階に細分,上2桁の数値をもって、それぞれの名称を肥満症治療食18,16,14,12,10としていることである。

 そして食事療法を、(1)脂肪細胞の質的異常による肥満症(糖尿病、高脂血症、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、冠動脈疾患、脳梗塞)と、(2)脂肪組織の量的異常による肥満症(整形外科的疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常)の2つに分けている。

 脂肪細胞の質的異常による肥満症では緩やかな肥満症治療食18,16,14,12を,脂肪組織の量的異常による肥満症では厳しい肥満症治療食14,12,10を用いる。

 メタボリックシンドロームや肥満型糖尿病は、(1)の脂肪細胞の質的異常による肥満症となり、1800kcal/日(肥満症治療食18)から1200kcal/日(肥満症治療食12)を基本治療食として用いる。

 超低エネルギー食(VLCD)は600kcal以下の食事をいい、BMIが30以上で健康障害改善のため、迅速かつ大幅な体重減少が必要なとき用いる。1000kcal未満の場合は、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足するので、これらを配慮し常食形体の日本食化超低エネルギー食あるいはフォーミュラ食を使用する。

 肥満症治療のゴールは標準体重に求める必要はなく、肥満に伴う合併症を改善することにある。メタボリックシンドロームなど脂肪細胞の機能異常による肥満症では、体重を数kg減少させるだけで内臓脂肪は減少し、糖尿病や高脂血症、高血圧などは著明に改善するので、3カ月で体重・腹囲を5%減少させることを当初の目標とする。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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